ベトナム、実利で米に接近 両国首脳が「歴史的会談」 TPPで輸出増/中国の台頭 2015/07/09 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「ベトナム、実利で米に接近 両国首脳が「歴史的会談」 TPPで輸出増/中国の台頭」です。





 【ハノイ=富山篤】ベトナムの最高指導者、グエン・フー・チョン共産党書記長が7日、米国を訪問しオバマ米大統領と会談した。共産党書記長の訪米は初めてで、かつて泥沼の戦闘を繰り広げた両国は未来へ向けて大きな一歩を踏み出した。政治体制の違い、人権問題などから米越両国にはなお距離があるが、中国の台頭を背景に、実利重視で接近を続けている。

7日、オバマ大統領はチョン書記長と会談を果たした(米ワシントン)=ロイター

7日、チョン書記長はオバマ大統領と会談を果たした(米ワシントン)=ロイター

 両者の歴史的会談は国交正常化20年という節目にあわせて実現した。接近への熱意が大きかったのは米国よりもベトナムの方だ。その理由の一つは、米主導の環太平洋経済連携協定(TPP)がもたらす利益の大きさだ。

 ベトナムには韓国サムスン電子、米マイクロソフトなど電子部品のほか、縫製産業が集積している。しかし、今年上半期の貿易収支は37億ドルの赤字となり、通年でも4年ぶりの貿易赤字が確実。TPPを機に輸出を拡大して貿易赤字を回避したいとの思いが強い。

 経済成長の原動力である国外からの直接投資は2014年の金額ベースで日本が前年比65%減、中国が82%減となるなど陰りが見え始めており、TPP実現で米国からの投資が拡大することへの期待は大きい。7月から外国人の不動産保有を最長100年間認めるなど、投資受け入れへの準備も進めている。

 ベトナムが米国に接近したもう一つの理由は、南シナ海問題だ。領有争いで中国との対立が深まるなか、米国を味方につける効果は大きい。

 リスクはある。中国は総貿易額の16.8%を占める最大の貿易相手国だ。基幹産業の電子部品・縫製品の材料の大部分は中国から輸入される。中国メディアは8日の社説で「米越の接近は中国を標的にする狙いも含まれる」と不信感を示した。

 ロシアとの関係も危うさを増す。ベトナム軍の兵器は95%がロシア製だが、米国は昨年10月、約40年間続けてきたベトナムへの武器禁輸措置を海洋兵器に限って解除した。米国製兵器への移行をさらに進めれば、ロシアとの関係が一段とぎくしゃくする。

 ベトナムにとって対米接近は時代の流れに合った必要不可欠な戦略だ。ただ、つながりの深い中国、ロシアとの関係もこれ以上悪化させるわけにはいかず、外交は難しいかじ取りを強いられる。



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