ベネズエラ 危機深刻に 輸出の9割原油、価格下落が打撃 債務14.5兆円、返済に懸念 2016/02/12 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「ベネズエラ 危機深刻に 輸出の9割原油、価格下落が打撃 債務14.5兆円、返済に懸念」です。





 【サンパウロ=宮本英威】南米の産油国ベネズエラの経済危機が深刻化している。輸出の9割以上を原油に依存する同国だけに、原油価格の下落に伴い外貨収入が大幅に減少。1300億ドル(約14兆5000億円)にものぼるとされる対外債務について、債務不履行(デフォルト)を懸念する声も出始めた。豊富なオイルマネーで貧困層対策を進めてきたが、抜本的な財政政策の見直しが求められている。

チャベス氏の肖像画などを背にスピーチするマドゥロ大統領(1日、カラカス)=ロイター

 「原油相場の狂気を止めなければならない」。マドゥロ大統領は目下、原油価格の下支えに向け、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国の緊急会合の開催を必死に模索している。大統領の命を受けたデルピノ石油・鉱業相は産油国を歴訪。7日にはOPECの盟主であるサウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相に協力を仰いだ。

 ベネズエラの原油価格は足元で1バレル24ドルと2014年通年(88バレル)の3分の1以下に下落。15年1~9月の経常収支は130億ドルの赤字に転落した。マドゥロ氏によると原油安により15年に同国の歳入が70%も減少したという。

 中南米では2000年代に、資源価格の高騰を追い風に反米左派政権が台頭した。その旗手がカリスマ的指導力を発揮したベネズエラのチャベス前大統領だ。原油高を享受したチャベス氏は、原油収入を元手に支持層である低所得者層への無料診療所や無償住宅建設などのばらまき的な施策に用いた結果、国家財政を圧迫した。

 そのチャベス氏は13年に死去、その後を継いだマドゥロ氏だが支持率は低迷。経済危機への対応にも打つ手はなく、外貨準備を切り崩した。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、同国の15年の実質経済成長率はマイナス7.1%、16年もマイナス7%に沈むと予測している。

 08年末には431億ドル(約5兆円)に積み上がっていた外貨準備は、足元ではその4割弱の水準(155億ドル)まで減少した。しかもその大半は金が占めることから「輸入代金や元利払いに必要な外貨の流動性には欠ける」との指摘が出ている。

 一方で、中国向けを中心に対外債務は膨らんでいる。15年9月時点で残高は1388億ドルと、前年同期を5%上回った。16年には約95億ドルの対外債務の支払いを控える。ただ、ベネズエラは04年を最後に国際通貨基金(IMF)の経済審査を受け入れておらず、債権者の詳細など債務の実態が見えない。

 野党はIMFの協力を仰ぎ、対外債務の借り換えをすべきだと訴える。「輸入の減少や資産の処分だけではデフォルトを回避するのは困難になってきた」(英バークレイズ)との声も出始めている。

 国内の状況も厳しい。ベネズエラ中央銀行によると15年9月の消費者物価指数の上昇率は年率141.5%に達している。IMFは16年のインフレ率が720%と、15年の275%を大きく上回るとの予測を発表。報道によると紙幣の印刷が間に合わず、国外の企業に依頼して印刷した紙幣を飛行機で運んでいるという。治安悪化も進む。

 国際社会の信用回復とデフォルト懸念の払拭には、チャベス氏が進めた極度の貧困層重視の政策などの見直しが不可欠だ。また、キューバと同様に、長年、敵対関係にある米国やIMFとの対話を進める必要もありそうだ。



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