ホテル実は不足せず? 8都市、20年までに客室26% 増 2017/8/6 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「ホテル実は不足せず? 8都市、20年までに客室26%増 」です。





 2020年東京五輪を前に、ささやかれる深刻な「ホテル不足」。訪日外国人の急増が背景にあるが、実は客室は不足しないとの試算が明らかになった。都市部で今より3割近く増え、不足分を補う見通し。すでに供給過剰リスクを指摘する声もある。

 不動産サービス大手CBRE(東京・千代田)が17年から20年ごろまでに主要8都市で16年より約6万5千室、26%増えるとの調査をまとめた。

 東京は25.6%増の約2万5千室、大阪は34.9%増の約1万8千室が新たに生まれるもよう。訪日客に人気の高い割にホテルが少なかった京都は約8千室と36.1%増える見込みだ。20年に東京で1万6700室、大阪で1万3300室不足するとのみずほ総合研究所の調査をもとにした試算を上回る。

 客室数増加のけん引役は「ビジネスホテル」組だ。アパグループ(東京・港)は17年から20年までに47ホテル(約1万4500室)の開業を計画。東横イン(東京・大田)は18年までに25ホテル(約8400室)、共立メンテナンスは「ドーミーイン」を20年3月までに31ホテル(約5800室)つくる。

 景気が底堅いうえ、訪日客が急増していることで、客室をどんどんつくろうとの機運が高まる。日本政府観光局によると16年に日本を訪れた外国人は約2400万人と過去最高を更新。政府は20年に4千万人の訪日客をめざす鼻息だ。

 こうした最近のホテル増加の影響は、既存ホテルに出始めている。渋谷エクセルホテル東急では「新しいホテルに客足が流れている」(相馬克俊リザベーションマネジャー)と不安を隠さない。都内では稼働率が伸び悩むホテルが目立つ。

 ひずみを懸念する声も出始めている。

 ホテル運営を手がけるコアグローバルマネジメント(東京・中央)の中野正純社長は「シングルルームを増やすホテルが多い」と指摘する。シングルは収益性が高いため、出張者などをうまく取り込もうとする企業は多い。

 しかし、急増している訪日外国人のなかで、カップルやファミリー層ではシングルでは泊まりにくい。目先の利益を重視する姿勢が裏目に出ているという。

 一般住宅に旅行者を有料で泊める民泊の影響も本格的に出てきそうだ。住宅宿泊事業法(民泊法)が6月に成立し、民泊は18年1月にも全国で解禁される。年間の営業日数は180日以下という制限があるが、仲介最大手の米エアビーアンドビーは国内5万3千室を登録している。利用者はすでに年間500万人に上る。ライバルはホテルだけではない。

 訪日客の16年の旅行消費額は約3兆7500億円だった。政府は20年に8兆円、30年に15兆円に引き上げたい考えだ。国内旅行の消費額と合わせて、30年に37兆円をめざす。16年度で約540兆円という世界3位の国内総生産(GDP)を600兆円に拡大するためにも、観光産業は欠かせないエンジン。需要急増への対応は必要だが、同時に過当競争に陥らない戦略も不可欠となる。

(清水孝輔)



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