ポジション 債券市場、はや「出口」に備え? 異次元緩和 スワップション取引拡大 夏以降の物価上昇にらむ 2015/06/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「ポジション 債券市場、はや「出口」に備え? 異次元緩和 スワップション取引拡大 夏以降の物価上昇にらむ」です。





 債券市場で早くも日銀の異次元緩和の出口を見込んだ取引が広がり始めた。ヘッジファンドなど海外投資家を中心に、一定期間後の金利上昇リスクを回避するための金利デリバティブ「スワップション」の購入が増えている。いまはゼロ%近くにとどまっている消費者物価上昇率が夏以降に上昇に転じれば、長期金利も早晩上がり始めるとの読みが背景にある。

 29日の長期金利は、指標となる新発10年物国債利回りが0.440%と、前週末比0.030%低下(価格は上昇)した。ギリシャ債務問題を巡る不透明感を背景に「安全資産」の国債が買われた。一方で、長期的にみれば金利はいずれ上昇に向かうとの見方が増えつつある。

 こうした先行き見通しを映して取引が増えつつあるのがスワップションだ。スワップションは変動金利と固定金利を交換する「スワップ」と、将来権利行使する「オプション」を組み合わせた取引だ。

 予想通り金利が上昇すれば、金利上昇に備えてあらかじめ契約していたスワップ取引を実行し、利益を得られる。逆に金利が低下した場合にはスワップ契約を破棄できる。権利を買うだけなので、予想が外れても支払う損失はオプション料だけ。最近のように金利が将来上がる可能性はあるものの、確実とはいえない局面で効果を発揮する。

 最近購入する投資家が増えているのは「2~3年先に1~1.5%程度金利が上昇する」ケースを想定したスワップションだ。日銀は2016年度前半に目標である物価上昇率2%を達成すると見込んでおり、その後の金利上昇をにらんだ動きといえる。

 取引の主役は海外ヘッジファンドなどの投機筋だ。ただ「現物債を保有する銀行や生保など国内の機関投資家も、ヘッジのためのスワップション購入に関心を示している」(JPモルガン証券の山下悠也氏)という。

 市場参加者が金利上昇に備える背景には、物価指標の改善でドイツ金利が5月に急上昇したことがある。いったん金利が上がり始めると、中銀がいくら大規模に国債を買い入れていても、完全には抑えきれないという現実を印象づけた。

 日本でも原油価格の下げ止まりで夏以降には物価が上昇に転じるとみられる。市場が出口を織り込み始めれば、金利の上昇は避けられない。

 実際、債券投資家の金利見通しも上がり始めている。QUICKが29日公表した月次調査によると、6カ月後の新発10年物国債の利回りの予想は平均0.5%、3年後は1%、5年後は1.5%で徐々に上昇していく姿を描いている。5年後に3.5%まで上昇するとみる投資家もいた。

 金利上昇の可能性が高いと多くの人が思い始めるようになると、スワップションの価格は上昇する。過去と比べまださほど大きく上がっているわけではないが、価格の動きを映す予想変動率はじわりと上昇しつつある。このため「今のうちに割安に購入しようとする投資家が動き始めている」(モルガン・スタンレーMUFG証券の杉崎弘一氏)。

 スワップションは09年ごろにも、日本の財政破綻による国債暴落に賭けて「10年先に金利が5%上がる」といったシナリオで海外勢が購入する動きが目立った。こうした取引は実現可能性が低い分、オプション料が安い。「当たれば大もうけの宝くじ感覚で買うケースが多かった」(野村証券の松沢中氏)。最近の市場では、近い将来の比較的緩やかな金利上昇をにらんだスワップションの購入が増えている。

(浜美佐)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です