ポジション 米利上げ、後ずれ観測強まる ドル高、むしろ長引く? 2015/07/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「ポジション 米利上げ、後ずれ観測強まる ドル高、むしろ長引く?」です。





 米連邦準備理事会(FRB)の利上げが後ずれするとの観測が強まってきた。ギリシャ債務問題や中国経済の行方を見極めるため、利上げを9月でなく12月まで待つとの見方が広がっている。利上げ先送りは一見するとドル安の材料。だが過去の例をみると、むしろドル高を長引かせる要因になりうるとの指摘も出ている。

 利上げを巡りイエレンFRB議長は10日の講演で、あらためて「年内が適切」と発言した。だが市場はFRBが何月に動くかで揺れている。

 金融情報会社QUICKが86人の市場参加者を対象に13日まとめた月次の調査によると、米利上げの予想時期は「9月が36%、12月が44%」だった。前月調査は「9月が59%、12月が24%」だったが、9月から12月へと多数派が逆転した。

 大きく影響したのがギリシャの債務返済問題に端を発した市場の動揺だ。予想を9月から12月に変更したBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「米金融政策が引き締めに転じるのは約11年ぶり。市場の混乱を避けるには事前の米連邦公開市場委員会(FOMC)で周到な地ならしが必要になる」とみる。

 仮に9月に利上げするなら直前のFOMCは今月28~29日だ。ギリシャの債務問題を巡っては13日に欧州各国が再支援の方針を固め、まずは最悪の事態を回避したが、市場がなお神経質な現状では「9月の利上げをにじませにくい」(河野氏)。

 中国経済の減速も不安材料だ。米国の対中輸出額は5月に前月比7%減った。ドル高も相まって輸出が落ち込めば米国経済の足を引っ張りかねない。FPG証券の深谷幸司氏は「構造問題を抱える中国経済の見極めには時間がかかり、利上げに向けた霧は9月には晴れないだろう」と話す。

 国際通貨基金(IMF)も6月、米経済への「著しい不確実性」などを理由に、利上げを2016年前半まで待つべきだと提言している。

 米利上げが遅れれば円高・ドル安要因との声は多い。9月の利上げを見込んだ短期筋がいったんドルを売る動きが広がるなどの見方からだ。

 一方、みずほ銀行の唐鎌大輔氏は「12月までの利上げを見通せるなら、金融政策の正常化シナリオが崩れたと市場は受け止めない」と分析。相場が大きく円高に振れるとの見方を否定する。

 00年前後や04年など過去の例ではドルは利上げ直前まで上げ、実際の利上げ後には弱含んだ。唐鎌氏は「利上げが遅れれば、むしろ緩やかなドル高基調が続く」と予想する。実際の利上げまで日米の金利差拡大の期待が保たれ、機関投資家などが米国の株式や債券に投資し続ける、との理屈だ。

 ただし米国の潜在成長率は低下し、過去ほど大幅な利上げ局面は見通せない。最初の利上げ後に「追加利上げ→一段のドル高」の流れは生じにくいともいえそうだ。

(川手伊織)



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