ポジション REITに運用マネー集中 マイナス金利で需給好転 分配金利回りは低下 2016/05/07 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「ポジション REITに運用マネー集中 マイナス金利で需給好転 分配金利回りは低下」です。





 不動産投資信託(REIT)市場への資金流入が続いている。日経平均株価が昨年末比で1割強下げるなか、東証REIT指数は1割近いプラスを保つ。歴史的な低金利に悩む運用マネーが集中し、需給環境は良好だ。死角はないのか。

 「REITは相場が下がると、すかさず買いが入る」。しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、軟調な日本株とは対照的に底堅いREIT相場を「超低金利と好需給に支えられている」とみる。

 きっかけは日銀が1月末に公表したマイナス金利政策だ。REITは物件取得の資金を銀行借り入れや債券の発行で賄う。金利が下がると分配金が増えるとの思惑を生みやすい。SMBC日興証券の鳥井裕史シニアアナリストは「調達金利が0.1%下がるごとに分配金が2%増える」と推計する。

 2~3月は海外投資家の買いが一気に膨らみ、2月の買越額は1167億円と過去2番目の大きさだった。4月からは地方銀行など国内勢の資金も入り始めたようだ。

 魅力は相対的な利回りの高さだ。予想分配金利回りは平均で3%強だ。10年物国債利回りのマイナス圏が定着し、東証1部の予想配当利回りは2%強にとどまる。ある信託銀行の運用担当者は「REITは利回りが高く、為替リスクもない」と話す。運用難のマネーを集めやすくなっている。

 需給好転への期待も潜む。市場では日銀が追加の金融緩和に踏み切れば現在、年900億円の買い入れ枠が拡大されるとみられている。今期からは、ゆうちょ銀行がREIT投資に参入するとの観測も出ている。

 好需給が支えるREIT相場は揺らがないとの見方が広がるなか、気がかりな変化も出てきた。オフィス空室率の上昇だ。オフィス仲介の三幸エステート(東京・中央)が都心5区のオフィスビルを対象にした4月の空室率調査では本来は人気の高い築1~10年が2.36%と築11~20年と築21~30年を上回った。1~10年が最も高くなるのは2008年6月以来だ。

 REITの保有物件にも不安がある。東京都心部の物件取得が難しくなり、「首都圏以外や築年数の長い物件の購入が目立つようになってきた」(UBS証券の田沢淳一シニアアナリスト)。仮に国内景気が減速すれば、都心部の案件よりも需要が落ち込みやすいリスクがある。

 「REIT相場は過熱気味。それでも株よりは魅力的だ」。地方銀行の運用担当者はこぼす。REITに資金を移す動きが広がったためか、時価総額の大きい主力REITの予想分配金利回りは2%台と、東証1部の予想配当利回りに近づいている。これからの局面は「皆が買う」に惑わされず、利回りと不動産市況に潜むリスクにも気を配る必要がありそうだ。

(荻野卓也)



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