ポジション REIT低迷の「デフレ思考」 薄らぐ賃料改善期待 稼働率優先でリスク取れず 2015/07/02 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞のマーケット総合2面にある「ポジション REIT低迷の「デフレ思考」 薄らぐ賃料改善期待 稼働率優先でリスク取れず」です。





 不動産投資信託(REIT)相場が軟調だ。REIT全体の値動きを示す東証REIT指数は1日に一時1700台まで下げ、今年の安値圏に沈んだ。世界的に金利上昇が見込まれる中、REITの利回り妙味が薄れているのが一因だが、それだけではない。国内REIT市場低迷の根底には抜けきれない「デフレ思考」がある。

 指数全体の足を引っ張るのがオフィスビルに投資する銘柄だ。3月末からの東証の用途別REIT指数をみると「オフィス」は約4%安で、市場全体(約3%安)よりも下げがきつい。

 環境は悪くない。オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、東京都心5区の5月の平均空室率は5.17%と6年4カ月ぶりの低さで、平均賃料も前月比17カ月連続で上昇した。それでもオフィス系が低迷するのは「想定より賃料の伸びが鈍いため」(しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹氏)。

 年初からREITの先高観を支えた賃料改善への期待が揺らいでいる。既存物件では賃料改善が思うように進んでいないのだ。例えばオフィスREIT大手、日本ビルファンド投資法人は既存物件の賃料がプラスに転じるのは2015年12月期とみる。ジャパンリアルエステイト投資法人も15年9月期にようやく横ばいになると見込む。

 REITの苦戦が目立つのは「デフレ下での経営発想から十分、転換できていないため」(三井住友アセットマネジメントの秋山悦朗氏)との見方がある。分配金の多寡で市場の評価が決まるREITにとって怖いのは「稼働率が下がり、分配金が減る」ことだ。

 このため稼働率を最優先して、強気な賃料上げは避けたり、契約期間を長めに設定したりするなど「安全最優先に走りがち」(三井住友アセットマネジメントの秋山氏)。通常の不動産業者なら先行き賃料上げが期待できる場合、空室のままであえて待つリスクもとれる。だが長らく安定重視の運用をしてきたREITは思い切った賃料戦略をとりにくい。

 もちろん日本ばかりでなく米国の代表的なREIT指数は年初来で8%安に沈むなど世界的にみてもREITは苦戦を強いられている。米利上げに伴い金利が上昇するとの警戒感から「利回り商品」としてのREITの魅力は低下気味。だが金利が将来、落ち着きをみせても中長期の収益改善に道筋をつけない限り、国内REITの本格回復には時間がかかる可能性がある。

(松本裕子)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です