マネー異変 きしむ世界経済(2)米利上げ、軟着陸へ試練 2015/08/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「マネー異変 きしむ世界経済(2)米利上げ、軟着陸へ試練」です。





 24日朝、ゴルフ三昧の夏休みから公務に復帰したばかりのオバマ米大統領はさっそく現実に引き戻された。株安の連鎖について「震源地は中国。米経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は健全」(アーネスト報道官)と事務方に説明を受けた。米国はひとまず情勢を注視する姿勢だ。

米国は事実上の完全雇用状態だが…(イエレンFRB議長)=ロイター

経営者は手応え

 ダウ工業株30種平均が一時、1000ドルを超えて値下がりした24日。下げ幅を縮小するきっかけになったのは経済テレビ局CNBCに届いた一通の電子メールだった。

 「我々の中国事業は7、8月と着実に伸びている」。送り主はアップルのクック最高経営責任者(CEO)。中国を重要な市場とするアップル株は連想売りにさらされており「異例」(クック氏)の口先介入に出た。

 「予想以上に好調」。米ゼネラル・モーターズ(GM)で米国内部門を統括するマクニール氏は国内の新車販売に手応えを感じる。2015年1~7月の販売台数は前年同期比3.9%増の約178万台。大型車など利益率の高い車ほどよく売れ、大手各社は主要工場をフル稼働させている。15年は14年ぶりに1700万台を超えるとの見方も強まってきた。

 「多くの民間業者で熟練工が足りない」。2万6000社が加盟する全米建設業協会の集計(6月)によると、建築現場で働く労働者の週間労働時間は平均で39.9時間。1947年に集計を始めて以来、最も長い。7月の米住宅着工件数(商務省)は年率換算で約120万6000戸となり、住宅バブル時の07年10月以来の高水準。旺盛な建築需要に人手が追いつかなくなってきた。

 08年のリーマン・ショック後に10%に達した米国の失業率は7月に5.3%まで改善した。転職が当たり前の米国では事実上の「完全雇用」で、経済が過熱するリスクもある。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は9月の利上げも視野にゼロ金利解除のシナリオを練ってきた。

 だが、その出口戦略にマネー異変の影が及び始めている。「そんなに急ぐ必要があるのか」。利上げをけん制してきたのが、イエレン氏と並ぶ国際金融界の大物女性、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事だ。

マネー逆流警戒

 米国の雇用や消費は回復基調だが、賃金や物価の伸びは鈍い。IMFが警戒するのは、米国の見切り発車がもたらす新興国からのマネーの逆流だ。その懸念がここにきて現実味を増す。

 英バークレイズは従来9月と予想していた利上げ時期を来年3月へと修正した。「FRBは世界経済のさらなる混乱を恐れて利上げを封印する」。24日の外国為替市場では円の対ドル相場が1日で一時6円近く急騰した。利上げ先送りを市場は織り込み始めたようにもみえる。

 住宅バブルが劇的に膨張し崩壊した2000年代後半。バブルの震源地となったサンフランシスコ地区の連銀総裁だったイエレン氏は有効な対策を打てなかった。出口に動けば世界が揺れるが、後手に回ればバブルを助長しかねない。異例の金融政策の軟着陸を模索する寝苦しい夏が続く。

(ニューヨーク=佐藤大和)



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