マネー異変 きしむ世界経済(1)中国急減速、当局に不信 2015/08/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「マネー異変 きしむ世界経済(1)中国急減速、当局に不信」です。





 中国経済の減速、そして米利上げ観測を背景に、市場を激震が襲っている。世界経済はマネーの変調が映す試練に耐えられるのか。

成長率「5%」説

 インターネット上に出回るある中国経済に関する論評が、市場関係者に衝撃を与えている。「今年上半期の真の実質経済成長率は5%」。中国政府の統計では同じ時期の成長率は今年の政府目標と同じ「7%」に踏みとどまったが、論評は「経済は悪い」と断じる。

 筆者として記されているのは中国大手、国泰君安証券アナリストの任沢平氏。政府直属の国務院発展研究センターに在籍した経歴をもつ人物だ。仮に5%成長が本当なら、職を失う人が出て社会不安が起きてもおかしくない。中国では「失速」と呼んでいい水準だ。

 「道路の損傷が激減したよ」。山西省大同の住民は皮肉交じりに語る。大同は中国有数の産炭地で、かつては積載制限を超える石炭を積む大型トラックがひっきりなしに走り、道路はいつもでこぼこだった。それがいまは「渋滞も起きない」。

 中国の石炭最大手、中国神華能源の張玉卓董事長は24日、4割の大幅減益となった1~6月期の決算発表で「急速な価格下落と需要低迷に直面している」と訴えた。

 景気の動きをより正確に映す電力消費量は7月、前年同月比1.3%減と4カ月ぶりのマイナスに陥った。卸売物価は7月まで41カ月連続で下落した。企業がデフレ圧力にさらされ、景気全体を下押しする構図が続く。

 中国の成長鈍化は2011年から続いており、いまに始まった話ではない。ここにきて中国景気への懸念が市場で一気に強まったのは「中国当局が経済をうまく制御するという信頼感が揺らいだ」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)からだ。

 露骨な株価維持策(PKO)、唐突な人民元の切り下げ、そして天津の爆発事故……。中国の共産党政権は情報を細切れにしか出さず、市場を国家が管理することを優先してきた。そのツケが一気に噴き出した。

 24日の上海株式市場は総合指数が前日比8.5%の大幅安となった。前日に中国政府は年金基金に株式投資を認める対策を発表したが、上海・深圳合わせて2800社の上場企業のうち、24日に株価が上昇したのはわずか15銘柄にとどまる。

責任重い指導部

 中国当局はなりふり構わぬ株価対策で「株バブル崩壊」を封じ込められるとみていたが、甘い想定はもろくも崩れた。

 習近平国家主席は中国経済を「新常態(ニューノーマル)」と名付け、一定の成長鈍化を容認する一方で、構造改革を進めるという。だが、国有企業改革など市場化への取り組みは遅く、景気の減速だけが続いている。

 中国経済が失速するのではないかとの市場の心配をよそに、首都・北京では9月3日の抗日戦争勝利70年の軍事パレードの準備ばかりが目立つ。

 中国発の動揺は世界経済を揺るがすだけでなく、中国自身にも跳ね返る。中国指導部は、中国が世界経済のリスクの震源となっている現実に正面から向き合う覚悟と責任を問われている。

(北京=大越匡洋)



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