モネータ 女神の警告 キーパーソンは語る 低金利、年 金・雇用に影国際通貨研究所理事長渡辺博史氏 2017/11/22 本日の日本経 済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「モネータ 女神の警告 キーパーソンは語る 低金利、年金・雇用に影国際通貨研究所理事長渡辺博史氏」です。





 ――世界にマネーがあふれています。

 「ある国の所得水準が上がり、人々が生活を賄った残りを貯蓄するようになると、所得の伸びより貯蓄の伸びが大きくなる。中国やインドなどの新興国がそうした水準に達すれば、世界全体で貯蓄が膨らむ。貯蓄が増えるのに資金への需要が増えないため、カネ余りがしばらく続くだろう」

 「本来は貯蓄の伸びを相殺する形で資金需要が出てくるはずだが、そうはならない理由の一つは環境対策だ。規制の強化で設備コストがかさみ、投資そのものを諦める事例が増えた。モノやサービスを貸し借りする『シェアリング』の広がりで、一括で全額払わず月々使う分を払う消費パターンになり、資金への需要が盛り上がりにくくなった。資金の供給が大きく需要が小さいので、金利が上がる理由がない」

ゾンビ企業多発

 ――今日の低金利は何をもたらしますか。

 「経済の教科書には景気が悪ければ金利を下げて経済活動を促進しようと書いてあった。長引く低金利はあまり良いことをもたらさない。第1に年金資金の運用が世界的に難しくなる。年金の仕組み自体を根本から変えなければならず社会の安定性に影響する。第2に機械やロボットを導入する費用が下がり、人から機械への置き換えが進み雇用が伸びなくなる」

 「第3にイノベーション(技術革新)や構造改革に取り組む際、過程で淘汰されるべき企業が“ゾンビ企業”として生き残ってしまう。今の低金利では何もしなくても生き延びられる。財務省の感覚では、カネを借りる罪悪感がなくなると国の財政を健全にしようという動機も薄れる」

危機また起こる

 ――米欧は金融緩和の修正へ動き始めました。先進国の金融政策をどう考えますか。

 「そもそも金利自体がさほど上がらないなら、意図的な低金利政策の意味が本当にあるのか。中央銀行が低金利への誘導をやめたら金利が跳ね上がる状況なのかどうか。その辺を吟味すべきだ」

 「日銀の異次元緩和による一定の効果はあるが、思っていたほどか。緩和しなければひどく金利が上がるのか、インフレ率が低くなるのかどうか、早く吟味しないと。どんどん膨らむ負担に対する効果の分析が要る」

 ――金融危機は繰り返すのでしょうか。

 「また起こるでしょう。社会心理学で悪い記憶はだいたい5年で無くなり、反省も薄れていく。銀行がバタバタつぶれないまでも、いくつかつぶれるのは普通のこと。日本人は銀行の健全性に対する過信が抜けきらず、過剰規制になっている気がする」

(聞き手は編集委員 上杉素直)

=随時掲載

 わたなべ・ひろし 財務省で為替政策や国際金融を指揮する財務官を務めた。国際協力銀行(JBIC)総裁を経て2016年から現職。68歳



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