リースが消える日? 国際会計基準は「資産」算入へ 2018/07/01 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「リースが消える日? 国際会計基準は「資産」算入へ」です。





英和辞典を見ると、リースの意味は「賃貸借」とある。工場で使う機械から事務所のコピー機まで、多くの企業は「リース」を利用している。しかし国際会計基準は2019年から、リースの機械もすべて資産とみなす。買っても借りても同じルールが日本にも適用されれば、リース本来のメリットはなくなる。手元資金の乏しい中小企業の投資意欲に水を差すと懸念する声が出ている。

(画像:リース機器が日本の製造現場を支えてきた(東京都内の工場))

三菱UFJリースの柳井隆博社長が5月に開いたリース事業協会の会長就任記者会見は、強い危機感のにじむ発言が目立った。「リースの手軽さが薄れ、設備投資を大きく落ち込ませる恐れがある」。念頭にあるのが、リースを巡る会計変更の議論だ。

減価償却が必要

機械などを自社で購入せず、リース会社から借りるリース取引の利点の一つは会計処理が簡単なことだ。複数あるリース取引のうち、残価を設定して借りる期間を区切る「オペレーティングリース」であれば、代金を経費として処理できる。自動車やコピー機などの多くはオペリースだ。

ところが国際会計基準では19年から、すべてのリースが企業の資産とみなされる。オペリースも例外ではなくなる。資産であれば減価償却が必要で、元本と利息は分けて計算する。経費処理に比べると煩雑だ。

日本で対応が必要になるのは国際会計基準を採用している200社ほど。しかし、企業会計は透明性を高めるため、世界的に基準の足並みをそろえてきた。「国際基準との整合性を図ることが、日本金融市場の信頼につながる」。6月初旬、日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会の部会で、識者らは国際会計基準への準拠の重要性を強調した。

リースは00年代、米国で不適切な会計処理が問題となった。適切な会計監査を求める声は世界的に強い。監査法人は日本が取り残されることを懸念しており、「リース会計の整備は最大の課題」(関係者)だ。

リースを使ってきた企業は困惑する。ある自動車部品メーカーはフォークリフトやコピー機などほぼすべての備品がオペリースだ。財務担当者は「会計基準が変わると、手間がどれぐらい増えるのか見当も付かない」と表情を曇らせる。

リース業界には10年前の苦い記憶がある。08年、日本基準を国際基準に合わせる形で、設備全額を支払う「ファイナンスリース」が資産となり、税制も変わった。煩雑な会計処理は顧客離れを招き、07年度まで7兆円超あった取扱高はリーマン・ショックもあって09年度に4兆9219億円へ急減した。足元も5兆円前後にとどまる。

最近は長引く低金利で資金を調達しやすくなり、自己資金も豊富な大企業はリースを選ばなくなってきた。設備投資に占めるリース割合は07年の8%から直近では5%にまで低下した。

景気に影落とす

リースを巡る環境変化や会計を巡る先行きの不透明感を感じ取り、リース会社の一部は「脱リース」に動き始めている。大手の東京センチュリーは16年、社名から「リース」の文字を外した。日本のリース事業を引っ張ってきたオリックスも、今では営業収益に占めるリースを含む金融業の割合は2割程度にすぎない。

一方で、資金力の乏しい企業にとっては、初期投資を抑えられるリースの魅力は大きい。手軽に最新の設備を使えるリースが、企業の成長を支えてきた面もある。会計処理の変更が企業経営の足かせになるなら、戦後2番目の長さになった景気回復をけん引する設備投資に影が落ちる。

(大島有美子)



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