レジなしコンビニ多店舗展開 「AIは仕事奪わない」 2018/05/18 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「レジなしコンビニ多店舗展開 「AIは仕事奪わない」」です。





人工知能(AI)をテコに成長する米アマゾン・ドット・コム。消費者部門の責任者ジェフ・ウィルケ氏が来日し取材に応じた。技術が雇用などに与える影響を懸念する声が上がるが、「技術の進化は人々の生活を改善する」と述べ、レジなしコンビニを多店舗展開する考えを示した。規制当局がIT(情報技術)大手の監視を強めていることについては「小売市場は巨大で、総取りできる会社はない」とかわした。

ウィルケ氏は小売りや技術、有料会員サービス「プライム」などを統括する。

インタビューで何度も口にしたのは技術への「楽観」だ。「産業革命までさかのぼっても、技術は人から仕事を奪っていない。仕事のあり方を変えた。面白く安全で生産的な仕事を可能にした。現代も同じだ」

アマゾンはネット通販の物流センターにこの5年で13万台以上のロボットを導入したが、従業員も35万人以上増やした。重い荷物の運搬などから解放され、「人はロボットとの協働から利益を得ている」という。

AIへの期待は強い。声で操るスピーカーを商品化したほか、米シアトルには画像認識でレジを不要にしたコンビニ、アマゾン・ゴーを開いた。

同氏は「店舗で顧客が最も嫌うのはレジの列だ。出店地の決定や場所の確保に時間はかかるが、多くの都市でゴーを見ることになる」と多店化する方針を表明。「顧客の商品探しの手伝いや食品の用意などの仕事がある」として、人減らしの手段とは位置づけていないことも強調した。ゴー技術の外部供与の計画はないという。

約1.5兆円で買収した食品スーパー、米ホールフーズ・マーケットはプライムとの相乗効果を追求する。買い物時の割引などを適用し、会員が世界で1億人に達したプライムの拡大につなげる。

一方、アマゾンのようなプラットフォーマーを巡っては、優越的な地位の乱用やデータ独占への警戒が各国で強まるが、同氏は反論した。「市場は大きく、多くの小売業者が勝者になる。経済への影響力がある企業を政府や当局が監視するのは重要だ。アマゾンも影響力があり調査対象だが、見事に合格すると思う」

顧客データの収集については「買い物の履歴や決済方法など顧客のことを知り、商品を薦めるのに使う。ただ、これらのデータは小売業者がかねて集めてきたのと同じだ」とアマゾンだけが特別ではないと訴えた。「データは外部に売らない」とも語った。

自前の物流網を築き、物流会社と競合関係になるとの見方は否定した。「ホリデーシーズンなどに(通販の荷物が増え)物流会社の許容量を超すことがある。自前の物流網は不足を補うためのものだ」。日本郵便やヤマト運輸、米UPSの名前を挙げ「すばらしいパートナーシップ」と説明した。

医療や金融などITと親和性が高い分野にアマゾンが本格進出するのではとの観測も絶えない。「現時点で新サービスの計画はない」と繰り返しつつ、「一個人としては、医療や金融を改良する技術の活用法が見つかると楽観的だ」と話した。

アマゾンの従業員は56万人におよび、大企業病の回避が課題になる。「失敗をいとわず、実験的な試みをする文化を保ちたい」とウィルケ氏。4年前に参入したスマートフォンは不発で巨額の損失を出した。そういうリスクをとる精神と行動力を維持できるとすれば、多くの産業にとってアマゾンは不気味な存在だ。動きを静観していられる企業は業種を問わずどんどん減る。

(本社コメンテーター 村山恵一)

 ジェフ・ウィルケ氏 Jeff Wilke 米アライドシグナル(現ハネウェル)を経て1999年アマゾン・ドット・コム入社。2016年からワールドワイド・コンシューマー部門の最高経営責任者(CEO)をつとめる。大学では化学工学を学び、MBA(経営学修士)も取得した。米ペンシルベニア州出身。

ジェフ・ウィルケ氏 



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