ロシア、反政府デモに苦慮 治安部隊増員も拡大防げず裏目 2017/6/ 14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「ロシア、反政府デモに苦慮 治安部隊増員も拡大防げず裏目」です。





 【モスクワ=田中孝幸】ロシアのプーチン政権が国内で広がる反政府デモへの対応に苦慮している。野党指導者のアレクセイ・ナワリニー氏が呼びかけた12日の反政権腐敗デモはモスクワを含めた全土の主要都市で発生。数万人の市民が参加し、拘束者は1500人を超えた。デモは政権が改善を目指す対米関係にも影を落としている。

 治安当局の動きをチェックしている現地の非政府組織によると12日のデモの拘束者は全土で1560人。開催都市は南部ソチやシベリアのノボシビルスク、極東ウラジオストクなど数十にのぼった。

 ナワリニー氏が呼びかけた3月下旬の反腐敗デモは80以上の都市に拡大し、政権側に衝撃を与えていた。政権は今回、参加者を減らそうと学校当局などを使って学生に圧力をかけ、当日は大量の治安部隊を動員したものの、大規模なデモの再発を防げなかった。

 デモが沈静化しない背景には、市民が治安部隊を恐れなくなっていることがある。当局は過去にはデモ隊への武器使用もいとわなかったが、最近は事態の過激化を避けるために手荒な措置を避けている。実際、12日のデモでもけが人はほとんどなく、拘束者の大半はすぐに釈放された。

 治安機関を大量動員した反応が裏目に出ているのも否定できない。モスクワ国際関係大のワレリー・ソロベイ教授は「静観すればよかったのに多数の拘束者を出したことで反政府運動がかえって勢いづく結果となった。当局はデモへの効果的な対処法を見いだしていない」と語る。

 プーチン政権は反政府運動の外交面への影響にもいらだちを募らせている。スパイサー米大統領報道官は12日、ロシアのデモでの多数の市民の拘束について「民主主義の核心的価値への侮辱だ」と非難。米国の内政干渉に反対してきた政権幹部の神経を逆なでした。

 ロシアでは生活水準の悪化を背景に、政権幹部の腐敗に対する市民の不満が高まっている。ナワリニー氏はこうした不満を取り込み、プーチン大統領の再出馬が想定される来年3月の大統領選に向けて反政権運動を盛り上げる戦略を描く。

 現実的にはナワリニー氏が大統領選に出馬しても、高支持率を保つプーチン大統領を破って当選する公算は小さい。ただ、反政府運動がさらに拡大すれば大統領選の正当性に疑問符がつく可能性がある。カーネギー・モスクワ・センターのアンドレイ・コレスニコフ主任研究員は「当局は今後、デモ対策のためのプロパガンダを強化したり、抑圧措置への理解を得ようとしたりするだろう」と語る。



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