一目均衡 GDP600兆円と株価 証券部 松崎雄典 2015/10/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「一目均衡 GDP600兆円と株価 証券部 松崎雄典」です。





 日経平均株価が714円安となった9月29日、東京証券取引所第1部の株式時価総額は496兆円(政府保有株除く)と8カ月ぶりに500兆円を下回った。8月10日に記録した過去最大の609兆円から100兆円強を失った計算だ。

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 政府は「新3本の矢」の一つとして名目国内総生産(GDP)を500兆円から600兆円に引き上げる目標を掲げた。ところが、水準が近くGDPと比較されやすい時価総額は、株価がやや戻した5日終値時点でも529兆円と、600兆円台の回復には遠い。

 国内で新たに生み出されたモノやサービスの総和であるGDPと、海外での稼ぎも含む企業収益を源泉とする時価総額は集計の対象が違う。株価は期待やマネーの量でも増減し、逐一、連動するわけではない。

 とはいえ、投資家が妥当な株価水準を算出する際に、GDP成長率を使うことはしばしばある。著名投資家のバフェット氏は「最良の指標」として時価総額とGDPの比較から株価がバブルでないかを探る。長期の関係は無視できない。

 日本の時価総額とGDPの関係を振り返ると、世界に逆行する動きだった。

 1970年代以降、金融自由化で実体経済に比べた金融資産の規模が世界全体に膨らんだ。米マッキンゼー・グローバル・インスティチュートによると、世界の株式や債券、融資の総額のGDPに対する割合は、80年の100%強から300%以上に拡大している。

 ところが、「日本は世界的な金融拡張の中で取り残された」(みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミスト)。時価総額のGDPに対する比率はバブル期の1.3倍から右肩下がり。株価や不動産の下落による資産デフレとなり、企業の投資意欲は減退した。

 収益回復で企業は投資に動き出しているが、実質無借金の上場企業はなお5割と米国の35%と比べ多い。経営者の凍ったマインドは溶け始めたにすぎない。

 経済同友会の小林喜光代表幹事は会見で「政治には、経営者が国内にも商機があると思えるようにしてほしい」と指摘した。GDP600兆円という目標は具体性は欠くものの、成長やデフレ脱却を目指す姿勢を再確認した点で重要だ。

 大和総研の小林俊介エコノミストによると、東証株価指数(TOPIX)に1000億円をかけた数値は戦後、一貫してGDPの2カ月分から8カ月分の間だった。バブル崩壊後は2カ月分から4カ月分が常態化した。仮にGDP600兆円を達成すれば、その4カ月分(200兆円)を1000億円で割り、TOPIXは最大2000となる。現在、日経平均はTOPIXの約12倍で、それを当てはめると日経平均では2万4000円の水準だ。

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 海外投資家がアベノミクスに期待したのは、デフレ脱却と企業の活性化の好循環だった。株価など資産価格の上昇も欠かせず、GDPと時価総額が両輪で増えることが期待される。



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