世界市場 不安の連鎖 金融安定へ国際協調急げ 2015/08/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「世界市場 不安の連鎖 金融安定へ国際協調急げ」です。





 世界の株式相場が連鎖安に見舞われ、商品相場も下げ足を速めている。中国の失速懸念が世界経済に暗雲となり、国内外の投資資金はリスク回避に走っている。主要国の政策当局は金融安定と景気失速防止に向けた行動を試されている。

暗黒の金曜日

 日経平均株価が2万円を割り、ダウ工業株30種平均は前日比530ドル安の1万6000ドル台半ばに下落。WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)でみた原油相場は一時、1バレル40ドルを割って6年5カ月ぶりの安値を付けた。先週末は世界の市場にとってブラック・フライデー(暗黒の金曜日)だった。

 中国では官民による必死の買い支えにもかかわらず、上海総合指数が3500割れ寸前。景気指標は弱含み、突然の人民元切り下げなど当局の対応も読めない。市場には疑心暗鬼が広がる。

 先が読めないのは米国の金融政策も同じだ。9月の連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利を解除するのか。イエレン連邦準備理事会(FRB)議長を含め、FOMCメンバーも揺れているようにみえる。

 米国が目いっぱい金融の蛇口を開き、中国などが投資を増やす。2つのエンジンが2008年のリーマン・ショック以降の世界経済を持ち直させた。あふれるマネーは先進国で吸収しきれずに新興国にも向かい、株式や商品へ流れ込んだ。

 だが中国経済の変調と米金融緩和の打ち止めでマネーのうたげは幕を閉じた。資源を「爆買い」してきた中国の低迷を映し、商品指標のロイター・コアコモディティーCRB指数は、リーマン直後でさえ保っていた200の大台を割った。

 商品価格の大幅な下落は資源の輸出国から輸入国への大規模な所得移転を意味する。例えば日本にとって原油安は半年間で3兆円の輸入代金軽減になった。だが世界経済の先行き不安が残るなかで、肝心の消費者心理は盛り上がらない。

 反対に資源国の懐具合は急速に悪化している。中央アジアの産油国カザフスタンは20日、為替の管理相場を保てず、変動相場に移行した。原油安と中国向け輸出の減少が経済を直撃した。

新興国の火種

 1997年のアジア通貨危機はタイに始まり、韓国、インドネシアを経て、98年にはロシアの債務不履行に飛び火した。今回は資源国や新興国が相次いで外貨不足に見舞われないか。そうでなくても新興国はドル建ての負債を積み上げている。欧米の金融関係者が懸念するのは、新たな国際金融不安の火種だ。

 市場が不安定になると資金避難先としてユーロと並び、円が買われやすい。日本の輸出にも逆風になる。世界経済が失速してしまうと、アベノミクスが目指す成長戦略の土台が崩れかねない。

 市場の動揺がグローバルに連鎖している以上、一国だけの景気・市場対策では限界がある。震源地である中国も含め、主要国が協調して金融安定と景気失速防止の体制づくりを急ぐ時だ。手をこまぬいていると、市場からの揺さぶりが増幅しかねない。

(編集委員 滝田洋一)



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