中国、アフリカ「制覇」へ攻勢 2018/06/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「中国、アフリカ「制覇」へ攻勢」です。





【北京=高橋哲史、台北=伊原健作】中国がアフリカで影響力の拡大に動いている。9月に北京で開く「中国アフリカ協力フォーラム」の首脳会合をにらみ、この地域と台湾の関係を完全に断ち切ろうと外交攻勢をかける。経済を武器にアフリカを自陣に組み込み、貿易や安全保障で対中圧力を強める米国との競争を有利に進める思惑がにじむ。

(画像:中国はブルキナファソと国交を結んだ(署名式で握手するバリー外相(左)と王毅氏)=共同)

6月4日、南アフリカを訪問した中国の王毅国務委員兼外相は「北京サミットの準備を全力で進めている。アフリカ各国の指導者が北京に集まり、全面的な戦略協力パートナーシップを新たな水準に高めることを期待している」と語った。

9月に首脳会合

「北京サミット」とは、中国の主導で2000年に閣僚級で始まった中国アフリカ協力フォーラムの首脳会合を指す。3年に1度のこのフォーラムを足がかりに、中国はアフリカとの関係をじわじわと深めてきた。

北京で開く今年の首脳会合は中国にとって特別な意味を持つ。

5月に西アフリカのブルキナファソが台湾と断交し、中国と国交を結んだ。アフリカで台湾と外交関係を保つのはスワジランドだけで、世界全体でも18カ国となった。同国と国交を樹立すれば、中国はアフリカを「制覇」したかたちで9月の首脳会合を迎えられる。

中国共産党の最高指導部メンバーは入れ代わり立ち代わりアフリカに足を運ぶ。習近平(シー・ジンピン)国家主席の腹心で、党序列3位の栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会委員長は、5月にエチオピアなど3カ国を訪れた。同4位の汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席は11日から20日までの日程で、コンゴ共和国など3カ国を歴訪中だ。

中国は圧倒的な経済力を武器に、台湾とアフリカを引き離す。

西アフリカの島国サントメ・プリンシペは16年末、2億1千万ドル(約230億円)の支援要請を台湾が断るやいなや中国と19年ぶりに国交を回復した。

ブルキナファソに対しても同様だ。台湾主要紙の自由時報によると、中国は昨年からブルキナファソに対し、少なくとも15億ドルの経済支援を提示。また隣国ガーナとの首都間を結ぶ鉄道建設の支援も提案し、台湾と断交するよう迫っていたとしている。

「中国がアフリカ各国の重要な貿易パートナーになっている現状を考慮するなら、人民元を準備通貨に組み入れることはわれわれにとって有利だ」。中国国営の新華社によると、5月末にジンバブエの首都ハラレで開かれたアフリカ各国の中央銀行幹部らの会議では、外貨準備の構成通貨に元を加えるべきだとの声が相次いだ。

17年の中国とアフリカの貿易額は1700億ドルに達し、10年前に比べて2.3倍に膨らんだ。貿易の拡大に伴い、ドルに代わって元を使う取引は増えている。中国が提唱する巨大経済圏構想「一帯一路」に絡むインフラ投資も拡大しており、この地域で中国の存在感は高まる一方だ。

強権手法に共鳴

アフリカを中国に引き寄せるのは経済だけではない。民主主義を押しつける米欧と一線を画し、強権的な手法で経済発展を実現した中国のモデルはアフリカ諸国の目に魅力的に映る。

中国政府系の英字紙チャイナ・デーリーは、4月初めに訪中したジンバブエのムナンガグワ大統領が中国共産党の指導指針である「習近平思想」を高く評価したうえで、次のように表明したと伝えた。「わが国でもジンバブエの特色ある社会主義を発展させたい」

ジンバブエでは17年11月、37年間にわたって大統領を務め、独裁政治で国民の支持を失ったムガベ氏が政権の座を下りたばかりだ。民主化への期待を寄せられたムナンガグワ氏だったが、早くも親中国の姿勢を鮮明にし、強権的な体制を敷こうとしている。

中国にとってアフリカでの影響力拡大は、米国へのけん制に通じる。

トランプ米政権は中国に貿易戦争を仕掛けるだけでなく、台湾や南シナ海など安全保障にかかわる分野でも中国に圧力をかける。とりわけ台湾問題への介入は、中国が絶対に譲れない一線だ。

にもかかわらず、マティス米国防長官は今月初めにシンガポールで開かれた安全保障会議で「(台湾への)必要な武器の供与を断固として続ける」と中国の神経を逆なでする発言を繰り返した。

中国がアフリカで台湾を孤立に追い込もうとあの手この手を尽くすのは、背後にいる米国に対抗する味方づくりという側面も大きい。



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