中国、インドに急接近対米けん制へ首脳会談 2018/4/24 本日の日 本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「中国、インドに急接近対米けん制へ首脳会談」です。





 【北京=高橋哲史、ニューデリー=黒沼勇史】中国がインドに急接近している。習近平(シー・ジンピン)国家主席は27~28日に湖北省の武漢にインドのモディ首相を招き、非公式の首脳会談を開く。米国との貿易摩擦が激しくなるなかで、領土や中国の巨大経済圏構想「一帯一路」をめぐって対立してきたインドとの関係改善を急ぐねらいが透ける。

中国の習主席(右)とインドのモディ首相は緊張緩和を探る(16年10月、インド南部ゴア)=ロイター

 武漢での中印首脳会談は、22日に中国の王毅外相とインドのスワラジ外相が北京で会談し、急きょ決まった。王毅氏は記者会見で「新たなスタートラインから両国関係をより良く、より速く発展させなければならない」と語った。

 中国側が強く働きかけたとみられる今回の首脳会談は異例ずくめだ。モディ首相は昨年9月に、新興5カ国(BRICS)首脳会議に参加するために福建省のアモイを訪れたばかり。しかも、今年6月には山東省の青島で開く上海協力機構(SCO)に出席する。1年足らずの間に中国を3回も訪問することになる。

 習主席が北京でなく、わざわざ地方に出向いて外国首脳を迎えるのも、国際会議を除けばめずらしい。3回連続で訪中するモディ首相に配慮し、少しでもインドに近い武漢に自ら足を運ぶかたちをつくったとみられる。

 1962年に武力衝突し、いまなお国境紛争を抱える中印は常に緊張関係にある。特に中国が一帯一路を打ち出してからは、安全保障上の脅威になりかねないとみたインドが警戒を強めている。昨年5月に中国が世界の首脳らを集めて北京で開いた一帯一路の国際会議に、インドは代表を送らなかった。昨年6月に中国とブータンの国境で中国が道路建設を始めた際は、ブータンの要請を受けたインド軍が出動し、約2カ月半にわたって中印両軍が一触即発の状況で対峙する危機まで起きた。今年2~3月にはモルディブ近海で海軍が一時にらみ合った。

 中国が安全保障の面で対立してきたインドへの接近を急ぐ背景に、貿易戦争を仕掛けるトランプ米政権を揺さぶるねらいがあるのは明らかだ。

 米国との交渉を有利に進めるために、中国は保護主義に反対して自由貿易を守る側のリーダーとして、仲間づくりに余念がない。南アジアの大国であるインドを自陣に引き込めば、米国に対抗するうえで優位な状況をつくれる。

 習氏が3月の憲法改正で2030年代を見据えた長期政権へのレールを敷くなか、インドの側にも習政権との過度な緊張は避けた方が得策との判断がある。ネール大のコンダパリ教授は「今回の首脳会談で大きな合意はなさそうだが、昨年の中国とブータンの国境で起きたような軍事的な緊張関係に陥らない方針で一致するのではないか」と予想する。

 インドが中国との緊張緩和を探っているようすは、国内に約12万人いる亡命チベット人の扱いをみても鮮明だ。インドはチベットを中国の一部と認めず、インド北部にある亡命政府を支援する一方、昨年から亡命チベット人にインドのパスポートを取るよう促し始めた。亡命チベット人にインド人になるよう求めているに等しい。

 モディ首相はかつて国境問題の解決と引き換えに、ダライ・ラマ14世の没後にはチベットからの亡命受け入れを止める方向で習主席と非公式に協議したとされる。パスポートの問題は、モディ首相がその地ならしに動き始めた表れともとれる。

 中国の一帯一路構想はインドがパキスタンと領有権を争うカシミール地方を通過するため、インドには譲りにくい一線だ。ただ「同地方に触れない形での協力について、今回の首脳会談で話し合う可能性はある」(コンダパリ氏)との見方も出ている。



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