中国、米豪緊張の間隙突く トランプ氏に対抗か 2017/2/8 本 日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「中国、米豪緊張の間隙突く トランプ氏に対抗か」です。





 【キャンベラ=高橋香織】中国の王毅外相は7日、オーストラリアの首都キャンベラを訪問し、ビショップ豪外相と会談した。アジア太平洋地域の貿易自由化推進を軸とした経済協力の強化を確認。難民受け入れ問題を巡って米豪関係には不協和音が生じている。その間隙を突く形で、トランプ米大統領の揺さぶりに対抗する中国の思惑がのぞく。

 両外相は3月24日に李克強・中国首相がシドニーを訪れ、ターンブル豪首相と会談することで合意した。外相会談に続いて首脳会談を開くことで関係強化の機運を持続する構えだ。

 会談後の共同記者会見で両氏は「包括的戦略パートナーシップを深化する」と強調。王氏の「これまで多くの外相と記者会見してきたが、今回が最も親密な場だ」との呼びかけに、ビショップ氏も「定期的な会談は豪中の関係成熟化を示す」と応じた。2015年末に発効した中豪自由貿易協定(FTA)を改定し、農業やインフラ、技術革新などの分野で貿易・投資を拡大する方針で一致した。

 トランプ氏の保護主義色の濃い政策を念頭に、自由貿易体制を維持する重要性も再確認した。米国が入らない枠組みの東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の「早期妥結を目指す」(王氏)とした。中国には環太平洋経済連携協定(TPP)離脱を決めた米国に代わり、中国も参加可能な新たな自由貿易体制の構築に向けて主導権をとりたい思惑がある。

 王氏の訪豪は4回目となる中豪外交戦略対話への出席が目的。トランプ氏の大統領就任直後という日程は、米国の同盟国でありながら経済面では中国依存が強い豪州との関係を再構築する狙いがありそうだ。中国メディアには「米豪関係は米日や米韓と比べて距離がある」との論調がある。折しもトランプ氏とターンブル氏は1月下旬の電話協議で、難民受け入れをめぐって激しく対立したばかり。オーストラリアを中国側に引き寄せたい王氏にとっては渡りに船となった。

 一方、ターンブル豪首相はもともと知中派とみられていた。今回の外相会談でも一時同席し、王氏への手厚いもてなしを印象づけた。豪州は貿易立国としてTPPに注力してきたが、実現が危ぶまれる中で最大の貿易相手国である中国の重要度は増す。豪州はアジアへの海上輸出航路を確保する上でも、地域の安定にカギを握る中国との関係強化を迫られている。

 ビショップ氏は記者会見で「米中の前向きで建設的な関係は両国や地域の利益になる」と強調した。王氏も「全く同感だ」と述べ、米中関係の進展に向けて「米国の仲間である豪州が中国と協力できる」と期待を表明した。一方、王氏は「米中間で紛争があってはいけない」と述べ、中国の通商政策に圧力をかける米国をけん制した。

 中国は台湾問題などをめぐるトランプ氏の揺さぶりに翻弄されており、対米政策を定められていない。トランプ氏就任後、国連安全保障理事会の常任理事国のなかで首脳が同氏と電話や会談による直接会談をしていないのは中国だけ。中国の外交関係者が「当面はトランプ政権の出方を忍耐強く待つしかない」と語るなかで、対豪関係を巻き返しの一手にしたいとの期待がうかがえる。



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