中国が狙う米の急所 2018/06/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「中国が狙う米の急所」です。





米中間で高まりつつある「貿易戦争」の懸念の陰に大きな皮肉が潜んでいる。経済統計を概観すると、トランプ米大統領をあれほど激怒させた巨額の対中貿易赤字が、それほどのものとは思えなくなってくる。

政府統計では昨年の米国の対中貿易赤字は3750億ドル(約41兆3000億円)だった。だが、この数字だけでは両国の経済関係の重要な側面を見落としてしまう。米企業が中国に進出して40年近く。中国現法は現地の消費者向けに製品やサービスを販売し、非常に潤っているのだ。

英系資産運用会社アバディーン・スタンダード・インベストメンツのエコノミスト、アレックス・ウルフ氏はゼネラル・モーターズ(GM)やナイキ、スターバックス、フォード・モーターなどの米企業の中国子会社の売り上げは、貿易収支や経常収支には表れないが、米国の対中輸出額を大幅に上回ると指摘する。

米国の直近の公式統計によると、米企業の中国子会社は2015年、中国国内で総額2219億ドル売り上げた。これらの製品やサービスは、170万人もの現地従業員により生み出されたものだ。

対照的に、米国では中国企業の存在感は薄い。中国企業の米国子会社の売上高に関する公式統計はないが、中国の対米輸出額と比べ、ほとんど取るに足りない額だろうとアナリストらはいう。

つまり、米中の総合的な経済関係は貿易収支の不均衡が示すよりずっと均衡が取れていることになる。英調査会社オックスフォード・エコノミクスのルイ・カウジ氏は「国内販売も勘案して対外貿易を捉えるのは難しいが、数字は確かに違ってくるはずだ」と話す。

ところが貿易をめぐり米中の緊張が高まれば、中国内の米企業は格好の攻撃対象となる可能性がある。以前、日本や韓国との関係が悪化したとき、中国では日本製品や韓国製品の不買運動が起きた。

中国政府は国営メディアの論調を抑えていたが、19日にはそうした抑制が外れたようだ。トランプ氏が中国への制裁措置として、さらに2000億ドル分の中国製品に追加関税を課す検討を指示したことに対し、中国商務省は「米国が追加関税の対象品目を公表したら、中国は量の面でも質の面でも総合的な対策を講じざるを得ない」との声明を出した。

中国現法を持つ米企業にとって目下の懸念は、中国が貿易制限措置だけでなくナショナリズムにも訴えて報復してきそうなことだ。ウルフ氏は「GMやフォード、ナイキなどの中国現法に対し、中国は非公式に大きな影響を与えられる」とし「中国メディアが米国は中国人の感情を傷つけたと報じれば、こうした企業は政府の措置に加え、消費者の不買運動によっても打撃を受ける」と予想する。

同氏によると、このほか特に影響が出そうなのが米国への中国人観光客だ。観光を輸出の1品目と捉えると、中国人観光客が昨年、米国で使った金額は大豆や航空機、電気機械など米国のどの品目の対中輸出額をも上回ったという。

カウジ氏も衛生や安全、税務に関する調査の厳格化や輸入手続きの引き延ばし、米国製品の不買運動など、中国のとれる手段は多岐にわたると話す。同氏いわく「中国は表向きは『貿易戦争』を望んでいないが、受けて立つ準備はできている」。

(21日付)



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