中国ネット遮断日本企業にも「VPN」規制、業務に支障 専用線 に誘導、迫る監視 2017/12/8 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「中国ネット遮断日本企業にも「VPN」規制、業務に支障 専用線に誘導、迫る監視」です。





 【広州=中村裕】中国が海外との自由なつながりを保っていたVPN(仮想私設網)の遮断を進めている。これにより、日本や欧米の企業の中国法人で通信トラブルが頻発している。当局の情報監視を容認するか、撤退しかないのか。日本企業は究極の選択を迫られている。

日系大手通信会社の幹部は監視への危機感を訴える

 「これでは仕事にならない」。10月12日、広東省で日系サービス関連企業に勤務する駐在員は朝からいら立っていた。

9月以降頻発

 何をやっても日本との通信ができない。中国駐在の日本企業に聞くと日本のサーバーにアクセスができなくなったり、社内のイントラネットにつながらなかったりするトラブルが続発していた。

 中国政府は今年1月、中国と海外を結ぶVPNを規制する方針を示した。VPNは、インターネットや公衆ネットワークを使って拠点間に仮想的に専用線を引く技術。コストが高い国際専用線の代替として多くの中国駐在企業が使ってきた。

 通信を暗号化して検閲を回避でき、中国のネットユーザーが政府への不満を海外の交流サイト(SNS)に書き込む際にも使われてきた。当局が目を光らせてきたが外国企業が日常業務に使うVPNは取り締まりの対象外。当局は「グローバル企業の運営に影響を与えない」としていた。

 それなのに9月以降、通信遮断のトラブルが表面化した。「中国当局がVPNを次々と使用不能にし、日系企業で頻発する通信トラブルの原因となっている」(日本の通信会社の幹部)。9月は中国のネット規制のターニングポイントだったようだ。米グーグルの検索に続きヤフーの検索も遮断されたのは9月末だ。

 ネット上に残された唯一の通気口ともいえるVPNを遮断するのはなぜか。日本企業のその後の動きから中国当局の狙いが浮き上がってきた。

 広東省深?市。電子部品商社の日本人経営者は「VPN規制が厳しく仕事にならない」として国際専用線への切り替えを9月に決断し、11月に工事が完了した。専用線は中国と日本の拠点を直接結ぶ。プライベート回線として使える安定性が売りだ。中国電信(チャイナテレコム)などの国営通信会社も「日本との通信速度が上がり快適なビジネス環境を構築できる」としきりに売り込む。

「傍受も可能」

 しかし日本の大手通信会社の幹部は「専用線は、その気になれば通信の傍受や情報の抜き取りは可能」と話す。国際専用線のサービス主体は日本の通信会社だが中国の通信会社が介在している。通常は厳しいセキュリティー対策を施すが中国ではグレー。中国の通信会社に任せ日本側が関与できない部分があるためだ。それでも「専用線という言葉の響きでリスクを考えず導入する日本企業は少なくない」という。

 11月20日に中国を訪問した経団連などの訪中団も強まるネット規制に懸念を示した。参加した日系メーカーの幹部は「日本の情報が何でも盗み取られてしまう。今回は中国の国家としての強い意志を感じる」と話した。

 VPNが遮断され、専用線へと誘導される。まるで追い込み漁のように日本企業は中国のグレートファイアウオール(ネットの長城)の内側に引き込まれる。誰もがその可能性をうすうす感じながら、立証はできない。

 「中国で重要な情報をやり取りするならスマートフォンの電源を切れ」。広東省で通信機器の民間企業を経営する40代の中国人男性は言う。3時間ほど間をとり相手との待ち合わせ場所に向かう。

 GPSがオフでも電源が入っていればアウトだ。街中に張り巡らしたアンテナとカメラで個人が特定される。彼はこうも助言してくれた。「待ち合わせ場所で落ち合ったら1カ所にとどまらず、歩きながら会話する。今はこれが一番安全だ」



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