中国企業、日本に「紅い経済圏」 消費分野で進出続々 2017/8/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の企業面にある「中国企業、日本に「紅い経済圏」 消費分野で進出続々」です。





 中国発の新たなビジネスが日本上陸を続々と決めている。ネット通販最大手アリババ集団はスマートフォン(スマホ)決済サービスを提供し、民泊最大手の途家(トゥージア)は楽天と提携した。かつて中国企業の日本進出はブランドや技術を狙った製造業の買収が中心だったが、消費・サービスへと分野が広がってきた。日中関係の不安定さなどのリスクはあるものの、2017年は「紅(あか)い経済圏」が日本に押し寄せる節目となる可能性がある。

旅行サイトの携程旅行網は東京駅近くに接客カウンターを設けた(東京・千代田)

 東京・秋葉原の雑居ビルの一室。途家の日本法人は16年にできたばかりで、数人が働く地味なオフィスにすぎない。しかし、約1億8千万人が専用アプリをダウンロードしている中国の民泊の草分けだ。米エアビーアンドビーの最大のライバルとして台頭している。

 楽天との提携を2日発表した。「中国で圧倒的な存在感を持つ会社と組み、効率的に中国人訪日客を獲得する」(楽天の民泊事業会社の太田宗克社長)。日本での民泊の本格解禁をにらみ、18年1月にも途家のサイトに楽天の物件を載せ始める。

 今月には、アリババが中国で5億人が使うスマホ決済アプリ「支付宝(アリペイ)」と同じサービスを18年春にも日本で展開することが分かった。

 「現金に偏る日本の決済文化を変えたい」。アリババ傘下の金融会社アントフィナンシャルジャパン(東京・千代田)の岡玄樹社長は意気込む。年内には家電量販店などアリペイ対応店舗を約5万店に増やす方針だ。

 経済成長に伴い、中国企業の日本進出が本格化したのは10年ごろ。当初は不振の日本企業を買収する例が目立った。自動車の比亜迪(BYD)による金型大手オギハラ(群馬県太田市)の工場買収や家電量販の蘇寧電器集団によるラオックス買収が典型例だ。

 日銀の統計では、16年の中国の対日直接投資は4372億円。一時は沖縄県・尖閣諸島を巡る摩擦などで減ったものの、13年以降は3千億~5千億円で安定推移する。

 17年1~6月は833億円にとどまるが、中国企業の対日投資に詳しい西村あさひ法律事務所の張翠萍・外国法パートナーは「提携や単独進出など買収以外の手法が増えた。進出件数は伸びている」と分析。最近は対象が消費・サービス分野に広がってきたという。

 「これから京都に行くので、荷物を預けておけば身軽に動ける」。旅行サイト最大手の携程旅行網(シートリップ)が1日にJR東京駅近くに開いた日本初の接客カウンター。広東省から家族旅行で訪れた田海浜さん(37)は笑顔を見せた。

 日本には16年、約637万人の中国人が訪れたが、そのうち400万人以上がホテル予約などでシートリップを使ったという。自社カウンターの開設を「個人旅行客の取り込みにつなげる」(日本法人の梁穎希社長)ことで日本定着を目指す。

 22日には、シェア(共有)自転車大手の摩拝単車(モバイク)が札幌市で日本初のサービスを始める。不動産大手の万科企業など中国系5社連合がグローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP、シンガポール)を買収し、97カ所(3月末時点)の拠点を持つ日本最大級の物流施設運営会社になることも7月に決まった。

 製造業でも新たな動きがある。「電機業界で品質管理の経験5年以上」「10年以上の精密自動化設備の開発経験」。通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)は今春から日本の求人サイトでこんな募集を出している。勤務先は千葉県船橋市だ。

 船橋の工場跡地にまず50億円ほど投じ、年内に通信機器を研究・製造する新拠点に衣替えする。通信キャリア向けの機器を手がけるようだ。買収ではなく自社が正面から活動を広げ、技術者や調達先が豊富な日本発の機器を世界に売っていく。

 製造業から消費やサービスに広がってきた進出は、中国経済圏そのものが日本に上陸する意味を帯びる。アリババは屋台でもスマホ決済する買い物文化、モバイクは日本では珍しい民間による自転車シェアを持ち込む。中国企業が日本で整えた仕組みに日本の消費者も組み込まれていく。

 シェアエコノミーなどの分野で日本の固い規制・習慣を突き崩す一方、共産党体制の国の企業が日本の決済や個人情報を押さえる政治的なリスクを生む。日本の企業や規制当局は膨張する中国経済圏との付き合い方を改めて問われそうだ。



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