中国化進む世界(下) 「14億プラスα」の圧力人が先兵 、疑心を増幅 2018/3/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「中国化進む世界(下) 「14億プラスα」の圧力人が先兵、疑心を増幅」です。





 西太平洋に浮かぶパラオ共和国が中国人客離れに直面している。1月に訪れた中国人観光客数は前年同月比で3割減。地元メディアは「中国当局が団体旅行を禁止した」と報じた。パラオは中国が「国」と認めない台湾と「国交」を保つ数少ない国だ。渡航自粛は「国交断絶を求める圧力」と受け止められている。

パラオの人気ダイビングスポットは中国人観光客の数が減った

深刻な観光客減

 既視感がある。国の名前を「韓国」に変え、理由を「在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)配備」にかえれば、韓国で昨年起きた観光客ボイコット問題と同じ構図だ。

 パラオのレメンゲサウ大統領は日本経済新聞の取材に「過度な中国依存は健全でないと考えていた」と語った。だが総人口2万人強の小国にとって、最盛期に年間9万人訪れた中国人客の急減は痛手だ。14億の人口を「先兵」に使い、自らの主張を手荒く伝える中国の戦略が浮かび上がる。

 中国企業は世界に人材を送り、米シリコンバレーでは多くの中国系技術者が働く。世界経済に欠かせない存在だが、数を力とする14億人を補完して各国の内政に影響力を行使する「プラスα」の役割を果たしているとの疑念も強まる。

 米ワシントンはメディア王ルパート・マードック氏の元妻ウェンディ氏の話題で持ちきりだ。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが「中国政府の意向を受けて米政界に接触した」と報じたためだ。同氏側は否定したが、米連邦捜査局(FBI)は「認識しているがコメントできない」と述べた。

 ウェンディ氏は中国・山東省出身で1990年代に米国の永住権を取得したとされる。一族による中国関連事業が指摘されたトランプ米大統領の娘婿クシュナー氏との近さで知られる。ウェンディ氏の疑惑との因果関係は不明だが、クシュナー氏は2月、ホワイトハウスの最高機密に接触する資格を失った。

ロビー活動拡大

 中国出身で他国の国籍を取得した「華人」や中国籍のまま海外で暮らす「華僑」は世界に6千万人。文化大革命時の混乱を嫌い中国を飛び出した世代は共産党と一線を引く人も多いが、78年の改革開放以降に海外に移った「新移民」は多くが中国政府に協力的だ。

 中国は2014年から約40カ国に「華助センター」を設け、華人らとの結束を固める。共産党地方幹部は「企業と連携したロビー活動などが世界で広がっている」と話す。

 「プラスα」は枝を広げる。オーストラリアで1月、野党のダスティアリ上院議員が辞職した。中国系実業家から献金を受け取り、南シナ海問題を巡って中国寄りの発言が目立ったためだ。豪州は2月、海外からの投資への規制を一部強めた。

 西側諸国はかつて海外で民主主義の価値を学んだ人たちが中国を変えると期待した。だが巨大な人の流れが描く未来図は全く逆に向かっているように映る。

 高橋香織、遠藤淳、石川潤、小滝麻理子、鳳山太成、平野麻理子、佐野彰洋、川上尚志、鈴木淳が担当しました。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です