中国失速、影響どこまで アジア・独・資源国に影 2015/08/04 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済面にある「中国失速、影響どこまで アジア・独・資源国に影」です。





 中国株バブルが崩壊した。焦点は中国の失速が、世界にどんな影響を及ぼすかに移ってきた。

 韓国は浮足立っている。今年上期の輸出先で中国の割合は25.5%と、米国の倍だ。中国株投資額は7.4兆ウォン(約0.8兆円)で、海外株式投資全体の40%にのぼる。

 韓国紙「中央日報」はこんなデータを挙げながら、懸念をあらわにする。中国株バブル崩壊が不動産やシャドーバンキングなどに広がれば、「中国経済とすでに一体となっている韓国経済には致命的なシナリオだ」。

 対外的影響については、国際通貨基金(IMF)が分析している。中国の実質成長率が1ポイント低下すると、翌年にはそれ以外のアジアが0.3ポイント、アジア域外の世界は0.15ポイント減速する。

 相対的に打撃が大きいのは韓国、マレーシア、タイ、台湾という。確かにこれらの国・地域は主力品の輸出を中国に頼っている。韓国とマレーシアは機械・輸送機械、台湾は電子部品、タイは原材料といった具合だ。

 日本はインドと並んで、影響の小さい方に分類されている。これは、中国の輸入市場への食い込みが必ずしもうまくいっていないことによる、ケガの功名でもある。

 2015年版「通商白書」の分析が面白い。中国の輸入における主要8分野で、輸入額に占める日本の割合は1~2割程度。ところが、伸び率の高い品目では、日本の割合はあまり高くない。

 それなら割合が高い国はといえば、ドイツの存在が目立つ。機械関連では乗用車、鉄道部品、貨物自動車、医療機器、自動車部品など、伸び率の高い市場をがっちりと押さえている。中国シフトはドイツの産業に大きな果実をもたらした。

 白書はドイツに羨望のまなざしを向けるが、万事塞翁が馬。中国が失速すると、オセロゲームのように得失がひっくり返りかねない。

 もうひとつ波及先として見逃せないのは、原油、鉄鉱石、銅などを産出する資源国だ。国際商品の動向を示すCRB指数は、すでにリーマン・ショック後の安値に接近。ブラジル、ロシア、インドネシア、南アフリカばかりでなく、オーストラリアにも黄信号が灯る。

 資源・エネルギーのほとんどを輸入している日本は、原油安などの恩恵を最も受ける国のひとつ。この点でいたずらな悲観は禁物だが、秋口以降に世界的な景気減速の第2波が起こるようだと、日本経済への影響は小さくない。

 何よりも警戒すべきは、内需の落ち込みに音を上げた中国が、輸出に活路を求め、人民元安の誘導姿勢を強める事態だ。景気減速下での国際的な通貨安競争は、日本にとっても真夏の夜の悪夢にほかならない。

 財政、金融にまだ余裕のある今なら、中国は内需拡大に取り組めるはず。あれだけ日本の失敗を学んできたというのだから、すべきことは分かっているに違いない。

(編集委員 滝田洋一)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です