中国株動揺(上)「買い手は政府だけ」 不満を恐れ、なりふり構わず 売り圧力はなお強く 2015/07/30 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「中国株動揺(上)「買い手は政府だけ」 不満を恐れ、なりふり構わず 売り圧力はなお強く」です。





 中国株の急落が習近平指導部を揺さぶっている。民衆の不満が政府に向かうことを恐れる指導部は、なりふりかまわぬ株価対策で市場の動揺を抑え込んだようにみえるが、「買い手は政府だけ」で売り圧力はなお強い。株価を支える極端な介入策は、習指導部が進める市場重視の改革に水を差す可能性もある。

(上海市)

証券会社の店頭で株式を売買する個人投資家
(上海市)

 「中国政府が株価対策をやめたら市場の状況はさらに悪化する。株価対策をやめることはできないはずだ」

 上海総合指数が前週末比8.5%安と約8年5カ月ぶりの急落を記録した27日、香港に本社を置く資産運用会社、恵理集団のディーリングルーム。上海株の運用を担当する李以立シニアファンドマネジャーは点滅しながら急落していく株価を見つめ、こう考えていた。

 この日、市場では「中国政府が株価対策を縮小する」との思惑が渦巻いていた。2014年夏から始まった強気相場の主役だった個人の信用取引は非正規分を含めると市場推計で2兆4000億元(約48兆円)も減った。今や市場を支えているのは政府の株価対策しかない。市場の噂通り、中国政府が株式市場から「退出」すれば、相場が下落することは確実だった。

 李氏の読みが当たり、証券監督当局は27日深夜、「中国証券金融は市場を安定させるために株式買い入れを続ける」と発表、「中国政府が株価対策を縮小する」との見方を完全否定した。中国人民銀行(中央銀行)も28日朝、「下期も穏健な金融政策を続ける」と緩和気味の金融政策で株式市場を支援する意向を示した。

 株価対策の継続発表を受けて、上海市場は再び落ち着きを取り戻しつつある。上海総合指数は29日、前日比3.44%高の3789で終わった。だが「中国政府といえども、永遠に介入を続けることはできない」(瑞銀証券の汪濤チーフエコノミスト)。それでは今後中国政府はどういう手段を打ち出すのか。

 国務院(政府)は24日、貿易促進策の一環として人民元の変動幅を一段と拡大すると発表した。これを受けて市場では「中国政府が今後、穏やかな人民元安により寛容になる」(英バークレイズ)との見方が浮上している。人民元安による輸出増をテコにした株式相場支援策だ。

 世界取引所連盟(WFE)によると、上海市場の時価総額は6月末時点で米ニューヨーク、米ナスダックに次ぐ世界第3位の規模だった。深圳市場と合計すると世界第2位となる。だがその内実は先進国とは比べようがない。中国の国有上場企業は規制や支配株主である政府の動向を重視し、投資家が最も重視する技術革新(イノベーション)を二の次にしてきた。

 株式相場を安定させるには、政府の市場介入や売買停止などびほう策に頼るのではなく、上場企業がイノベーションの追求によって魅力を高める努力が不可欠となる。

(上海=土居倫之、香港=阿部真也)

金利規制がバブル誘発 マネーの流れ、いびつに

 【上海=土居倫之】中国で常に投資バブルが発生してきた要因の一つが、金融システム保護の名目で低く抑えられてきた銀行の預金金利だ。かつては物価上昇率を下回ることもあり、余剰マネーが利ざやを求めて移動し、バブルを生み出す歴史を繰り返してきた。

 中国では2013年末時点で50万元(約1000万円)を超える大口預金者が預金者全体の0.37%しかいない。多くの国民が低すぎる預金金利に魅力を感じず、余ったお金を不動産や株式のような投資商品に振り向けてきた。

 余剰マネーは06年以降、まず株式に流入し、そこから不動産、そして信託商品に代表される理財商品へと移動した。14年、相次ぐ債務不履行(デフォルト)騒動で理財商品ブームが去り住宅価格も下落に転じると、行き場を失った資金は再び株式市場に流れ込んでいた。

 中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月、預金金利の上限規制について「今年なくす可能性が非常に高い」と述べた。その言葉通り金利の自由化を実現し、いびつになったマネーの流れを正常化できるかが試されている。



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