中国株動揺(下)習指導部、市場に脅し 改革後退懸念広がる 2015/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際1面にある「中国株動揺(下)習指導部、市場に脅し 改革後退懸念広がる」です。

完成バブルでも仕掛けんかの中国のなりふり構わぬ市場介入は、いずれ自らバブルを呼び、史上崩壊の大惨事になるものと思われます。経済をカネで御そうとすればするほど、御せなくなる負のスパイラルに中国は陥りそうです。





 株価急落後の混乱が収まらない上海株式市場で、政権の思惑が株価を左右する「官製相場」が再現される場面があった。演出したのは習近平国家主席だ。

 「高速鉄道は中国の対外協力の目玉商品だ」。習氏は今月17日午前、国有鉄道車両大手、中国中車の傘下企業(吉林省長春市)を訪れ、こう持ち上げた。中国中車の株価はこの日、一気に6%超上昇し、習氏は「中国経済は総じて良好だ」と地元幹部に強調した。

 上海の株価は政策期待がけん引し、企業業績や実体経済とかけ離れる形で6月中旬までの1年間で2.5倍に膨らんだ。中国の今年上半期の実質成長率は前年同期比7.0%と、今年の政府目標である「7%前後」に踏みとどまったが、景気の実態はより厳しいとの見方が強い。

 今年上半期の金融業の国内総生産(GDP)の伸びは17.4%と、成長が鈍るほかの産業を尻目に突出した。株高やその後の乱高下に伴う株取引の急増がGDPを押し上げる形となったのだ。「金融業のかさ上げ分を除いた6%台前半の成長率が実感に近い」と、北京の金融筋は指摘する。

 上海の株価は6月12日から7月8日までに3割超も急落した。経済が想定を超えて悪化すれば、失業増など社会不安を引き起こす恐れがある。焦りを強めた習指導部は、強権を振りかざし、動揺を力ずくで抑え込む手法に打って出た。

 新規株式公開(IPO)を強制的に延期する一方、証券会社の資金を投入して露骨な株価維持策(PKO)を講じた。公安当局は「悪意ある空売りを取り締まる」と市場に脅しをかけ、共産党は「株価問題を政治問題化するな」と国内報道機関の言論統制を強めた。

 強権で安定を保った代償は大きい。IPOの強制停止により、株式市場を通じて新興企業を育成するという理念は色あせた。習指導部がめざす国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)への人民元の採用も、海外を中心に「確率が低下した」(BNPパリバ)との見方が広がった。

 「応急措置は短期的なものだ」。習指導部の意向を映す共産党機関紙、人民日報は23日、株価対策は市場安定のためのやむを得ない措置であり、「改革は後退しない」と主張する論説を載せた。

 構造改革が遅れれば、中国経済の持続的な成長が難しくなるだけではない。改革の旗を掲げてきた習氏の権威が失墜し、経済政策に名を借りた政治闘争にさえ火が付きかねない。そんな危機感がにじむ。

 27日、いったん小康状態になっていた上海株が再び大幅に売られ、前日比8%安と約8年5カ月ぶりの下落幅を記録した。株価対策が近く終了するとの観測が市場に広がったのがきっかけだった。市場は国家の思惑通りには動かない。

(北京=大越匡洋)



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