中国締め付け、台湾閉塞 蔡政権発足から1年 2017/5/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「中国締め付け、台湾閉塞 蔡政権発足から1年」です。





 【台北=伊原健作】台湾の民主進歩党(民進党)、蔡英文政権が20日で発足から1年を迎える。国民党前政権の8年にわたる対中傾斜から転換する独自路線を探ったが、中国の締め付けで外交活動の道は一段と狭まった。回復傾向の経済も中国依存から抜け出せない。強まる閉塞感に人々の不満がくすぶり、次の一手を打ちあぐねている。

 中国が14~15日に北京で開いた「一帯一路(海と陸の現代版シルクロード)」構想の国際会議。中国がベトナムやカンボジアと結んだ共同文書には、中国大陸と台湾が1つの国に属するという「一つの中国」原則と、「台湾独立に反対する」との文言が盛られた。

 蔡政権は「現状維持」を中台政策の基本に据え、東南アジアとの連携強化で脱・中国依存を探る。だが中国はじわじわと台湾を封じ込め、「核心的利益の台湾問題で中国大陸が妥協することはない」(淡江大学の張五岳・副教授)のが現実だ。

 中国は「一つの中国」原則に基づく「92年コンセンサス」の承認を台湾との対話の条件とし、これを拒む蔡政権への圧力は強まる一方だ。中国側の外交工作で西アフリカのサントメ・プリンシペが台湾と断交し、台湾を国と認めて外交関係を結ぶ国は21カ国に減った。

 22日からの世界保健機関(WHO)総会へのオブザーバー参加も8年ぶりに途切れる公算が大きい。台北で8月に開くユニバーシアード夏季大会の団体競技にも、中国は参加しない見通し。民放TVBSが5月に実施した世論調査によると、内政の拙さもあって蔡氏の施政に対する満足度は28%。不満足との回答はその2倍の56%に達した。

 「台湾を国として正常な状態に近づける取り組みが不十分だ」。独立派の若者が結成した新政党「時代力量」の林昶佐・立法委員(国会議員)は訴える。野党・国民党や産業界が蔡政権を批判するだけでなく、蔡政権と近い独立志向の若者層や足元の民進党内にも「弱腰」との不満がたまる。

 対米接近で中国からの圧力をかわそうとするものの、大国外交のあおりで思惑通りに進まない。

 「すでに武器購入に向けた米国との意思疎通は始まっており、北朝鮮問題発生後も停滞はない」。米台関係筋は明かす。対中強硬論が強い米共和党政権との間では、最新鋭のステルス戦闘機「F35」や潜水艦技術の供与といった踏み込んだ協力が可能ではないかとの期待が台湾側には強い。

 だが当初は親台湾姿勢が目立ったトランプ大統領も、北朝鮮問題での協力を得ようと、対中融和に傾く。トランプ政権が台湾を対中交渉のカードに使うのではないか。そんな疑念も消えない。



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