中国軍拡 新ステージ 空母、西太平洋に進出 実戦能力 の向上を誇示、トランプ氏けん制か 2016/12/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「中国軍拡 新ステージ 空母、西太平洋に進出 実戦能力の向上を誇示、トランプ氏けん制か」です。





 【北京=永井央紀】中国人民解放軍の空母「遼寧」を中心とする艦隊が25日、沖縄―台湾―フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越えて西太平洋に出た。中国軍空母による西太平洋での訓練が確認されたのは初めてで、中国の軍事力拡大は新たなステージに入った。12月に入り活発な活動を続ける中国軍には、実戦能力の向上を誇示してトランプ米次期政権をけん制する狙いがあるとみられる。(1面参照)

「遼寧」で行われた艦載機「殲15」の訓練(23日)=共同

 自衛隊は空母と同時にミサイル駆逐艦3隻、フリーゲート艦2隻の合計6隻を確認した。警戒監視を継続中だ。艦隊は沖縄県・沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡を通過した。空母艦隊は12月中旬に渤海で初の実弾演習を実施したばかり。中国メディアによれば今回の訓練は海軍トップの呉勝利海軍司令官が乗り込んで指揮を執る異例の体制で、渤海から黄海、東シナ海へと航行しながら艦載戦闘機「殲15」の発着訓練などを実施している。

 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は24日の記事で、空母の動きについて「ある国の挑発行為への対抗措置を暗示している」との軍事専門家の発言を引用。独立志向の蔡英文・台湾総統との電話協議などで中国を揺さぶるトランプ氏へのけん制という見方を紹介した。さらに環球時報(電子版)は25日、「敵の海上からの攻撃を予防する」と題した記事を流した。

 遼寧はウクライナから購入し、改修した中国初の空母。国内で空母を製造するための研究や訓練が主目的だとされるが、ここに来て活動レベルを引き上げたうえで、内容を国営メディアを通じて公表している。実戦能力を高めていることを対外的にアピールする意図がうかがえる。

 中国は台湾有事などの際に米軍を寄せ付けないようにする「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」という戦略を重視しており、「第1列島線」は中国にとって軍事戦略上の防衛ラインだ。

 1980年代に提唱された構想では2010年までに第1列島線の内側、20年までに伊豆諸島からグアムを結ぶ「第2列島線」までの制海権を確保するとの目標を掲げた。実現は遅れているが、目標は現在も変わっていないとされる。中国空軍の爆撃機はすでに第1列島線を越える訓練を繰り返し実施している。

 空母を常時運用するには最低3隻の保持が必要とされる。遼寧では4月に着艦に失敗した戦闘機のパイロットが死亡する事故が起きるなど、運用面での課題も多いもよう。現時点では空母艦隊の第1列島線越えは象徴的な意味にとどまるとの見方が多い。ただ、将来、空母が第1列島線を越えて恒常的に展開する事態になれば、南西諸島での防衛を重視する日本の防衛戦略に影響する可能性も指摘される。

 中国は2隻目の空母を遼寧省大連で建造中で、近く進水する見通し。中国の軍時情報サイトでは最近、中国国防大学の教授(少将)が3隻目の空母が2015年3月から上海で建造が始まっていると明らかにしたとの情報が出回っている。艦載機を効率よく発艦させるのに必要な「カタパルト(射出機)」を中国空母として初めて搭載するとも主張している。

 事実であれば「スキージャンプ台」と呼ばれる傾斜のついた船首甲板を利用して発艦させる遼寧や建造中の2隻目の空母に比べ、より多くの戦闘機を載せることが可能となる。中国が戦闘力を飛躍的に高めた空母の製造技術を手に入れて、量産が可能になったことを意味する。

 中国共産党関係者によると、昨年末に購入契約を結んだロシアの最新鋭戦闘機「スホイ35」4機も近く中国に初めて引き渡される見通しだ。米国の政権交代を前に、中国軍の活発な活動が当面続く可能性がある。



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