中朝、急場の結束演出 南北・米朝会談を意識習近平氏、中国外し を警戒/金正恩氏、関係改善を誇示 2018/3/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「中朝、急場の結束演出 南北・米朝会談を意識習近平氏、中国外しを警戒/金正恩氏、関係改善を誇示」です。





 【ソウル=峯岸博、北京=高橋哲史】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は北京で、金正恩(キム・ジョンウン)委員長とみられる北朝鮮の要人を最大限のもてなしで迎えた。4月末から相次ぐ南北と米朝の両首脳会談を前に、蚊帳の外に置かれたくない習氏。米国との協議が不調に終わった場合の「後ろ盾」が欲しい金正恩氏。双方の思惑が一致した。(1面参照)

27日、北京駅に入る北朝鮮の要人を乗せたとみられる車列=共同

 27日午前、北京の釣魚台迎賓館の周りを走る道路が突然、封鎖された。「写真は絶対に撮るな!」。行く手を阻まれた通行人がスマホで写真を撮ろうとすると、警官が制止した。しばらくして、十数台の白バイに先導された車列が猛スピードで通り過ぎていった。

 車列の長さは昨年11月にトランプ米大統領が訪中したときに匹敵する。車に乗っていたのが国家元首級であり、中国がそれにふさわしい待遇をしたのはまちがいない。

 同じ車列は北京市の北西に位置する中関村地区でも目撃された。IT企業や大学、研究所が集積するエリアで、正恩氏の父である金正日(キム・ジョンイル)氏も過去に訪れた場所だ。

 北朝鮮の最高指導者が中国に足を運んだのは、2011年5月の金正日総書記が最後とされる。同年12月に死去した正日氏の後を継いだ正恩氏は、これまで国外に出た記録は見当たらない。15年10月に中国共産党の劉雲山・政治局常務委員が訪朝して以来、中国要人とは公式に会ってすらいない。

 中朝関係は13年2月、北朝鮮が中国の反対を振りきって3回目の核実験を強行したのをきっかけに悪化した。同年12月に中国との経済的なパイプ役を担っていた金正恩氏の叔父、張成沢氏が「国家転覆陰謀」の容疑で処刑された。最近は北朝鮮メディアが中国を名指しで批判するケースも珍しくない。中国は国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に賛成し、石油関連製品の供給制限などで圧力を加えている。習氏と正恩氏は互いに不信感を強めていたとされる。

 そんなさなか、中朝の「結束」をアピールするように北朝鮮要人の訪中が実現したのは、中国側の強い働きかけがあったからだとの見方が多い。

 4月末の南北首脳会談に続き、トランプ米大統領は5月に金正恩氏と会談する意向を表明した。中国はこれまで、経済や貿易面で対中圧力を強める米国と取引するカードとして北朝鮮を使ってきた面がある。米朝が中国を挟まずに直接対話を始めれば、このカードは効力を失う。朝鮮半島情勢が急速に動くなかで、積極的にこれからのプロセスにかかわっていく意図が浮かぶ。

 北朝鮮の側も、ここで中国に接近するメリットは大きい。トランプ政権は米朝首脳会談の受け入れを表明したあとも「最大限の圧力」を掲げて軍事・経済の両面で締め付けをやめない。今後、首脳会談に向けて米国と渡り合っていくためにも、中国との関係悪化を決定的にするのは得策でないと判断したようだ。

 北朝鮮にとっては、中国との関係改善で米朝首脳会談が不調に終わった場合の「保険」ができたともいえる。米側が求める完全な核放棄に応じず、トランプ氏が北朝鮮に対して強硬姿勢を強めたとしても、中国を後ろ盾に米国と交渉する余裕ができるからだ。



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