人口減地方が映す近未来(中)居住地集約、賢く縮む集落190 カ所が消滅 2017/8/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「人口減地方が映す近未来(中)居住地集約、賢く縮む集落190カ所が消滅」です。





 「泣く子はいねがー」。秋田県を代表する年末の伝統行事、ナマハゲが「絶滅」の危機にさらされている。男鹿市の148集落のうち4割以上で消滅した。秋田県の人口減少率は全国トップ。「担い手がいない」「迎える家がない」。独身者限定だったナマハゲ役を70歳代が務め、なんとか続けている集落もある。

かつては100人以上暮らしていたが今春ゼロに(高知県北川村竹屋敷集落)

橋も道も老朽化

 地域の伝統文化だけでなく、生活に必要なインフラの維持も難しくなっている。

 奈良市から車で2時間半の山のなかに奈良県十津川村はある。東京23区に匹敵する面積に約3500人が暮らす。橋や道路は老朽化が著しく、通行止めが必要な橋が10カ所、5年以内に修繕すべき橋が66カ所ある。

 村の年間予算は約70億円。1カ所架け替えるのに1億円かかる。「すべては維持できない」(更谷慈禧村長)。すでに2カ所については廃止方針を表明したが、「生活に欠かせない」と住民からは強い反発が出ている。

 著しい人口減で地方ではこれまでの「当たり前」が守れなくなっている。そしてこんな現象が各地で起こっている。

 「まさか自分の故郷に誰もおらんようになるとは」。元会社員の林田義雄さん(81)は肩を落とす。高知県の東部、徳島県との境にある北川村で、4月、1つの集落が消滅した。林業が盛んで当時は100人以上が暮らしていたといわれるが、最後の住民だった70歳代の女性が転居した。

 役場から車で1時間、救急車を呼んで病院に行くにも2時間かかる。身長ほどの草に覆われた道を分け入って行くと朽ちかけた空き家が10軒ほどあった。かつて祭りでにぎわった神社は崩れた状態で放置されていた。

 かつては国の営林署の事業所が開設され、材木を運ぶ森林鉄道も開通したが、林業の衰退に伴い、1980年代には人口は1桁になった。

 国土交通省と総務省の調査によると、2010年以降に住民がいなくなった「消滅集落」は190カ所に上る。

 このままではさらに消滅集落が増え、日本全体に荒野が広がることになりかねない。ならば、減少する人口を計画的に地域の中心部に集め、生活サービスを維持することも一案だ。「賢く縮む」発想といえ、試みはすでに始まっている。

市街地に誘導

 山形県鶴岡市は05年に5町村と合併し、居住地が拡散している。4月、住宅や商業施設を一定区域に集める立地適正化計画を公表した。市街化区域の4割に居住を誘導する。中心地に地元企業がホテルやバスターミナルを備えた拠点を設け、税を優遇する。空き地を活用して住宅を整備し、郊外から移住を促す。

 ただ、計画期間は20年を超える。その間も人口減は着実に進む。いかに速やかに移住してもらうか。豊橋技術科学大の大西隆学長は「居住地の集約を選択しない住民には一定の行政サービスを我慢してもらうことを検討してもいい」と指摘する。移住すれば便利だという誘導策以外の措置も必要かもしれない。時間との闘いである。



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