人口減地方が映す近未来(下)行政サービスを取捨選択村議会が成り立た ない 2017/8/16 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「人口減地方が映す近未来(下)行政サービスを取捨選択村議会が成り立たない」です。





 「ようやったな」。島根県隠岐諸島、知夫村の向浜樽幸議長は高知県大川村の動向を固唾をのんで見守っている。和田知士村長が6月議会で、村議会の廃止の検討を表明したからだ。地方自治は首長、議会とも選挙で選ぶのが原則。しかし、地方自治法は例外的に、議会を置かず、住民が直接、議案を採決する「総会」の設置を認めている。

村議会の廃止検討を表明した高知県大川村の和田知士村長(6月)

なり手が不足

 大川村の人口は約400人。村議会の定数は6人で平均年齢は約71歳。人口減で議員のなり手不足は深刻だ。知夫村も事情は同じで、ひそかに村総会の研究を始めていた。日本経済新聞が人口千人以下の村の議長に聞いたところ、大川村以外に4村で総会検討の必要性を回答した。和田村長は「もしものための選択肢」としており、大川村が村総会に移行するかは不透明だが、各地で地方議会の存続が危ぶまれているのは間違いない。

 役場の業務も成り立たない状況に陥りつつある。山梨県丹波山村は人口600人弱で5年間で2割近く減少した。歳入の半分近くを占める地方交付税は人口や面積などに応じて算出され、今年度は前年度より約1割減った。人口減で税収も減っており、まさにダブルパンチだ。木下喜人総務企画課長は「福祉や教育は何とか維持したいが、道路の老朽化対策や空き家対策などは後回しにせざるをえない」と漏らす。

 山梨学院大の江藤俊昭教授は「もはや自治体がフルサービスする時代ではない」と語る。「行政ができないなら自分たちで」。住民主導で取り組む例もある。

 岡山県北部、鳥取県境に町内会やNPOでつくる住民組織「あば村運営協議会」がある。旧阿波村は2005年に津山市と合併したが、人口減に歯止めがかからない。住民が自立を目指して14年「あば村宣言」をし、協議会を立ち上げた。撤退したガソリンスタンドを運営するほか、かつて行政がしていた高齢者の送迎、見守りも手掛ける。

住民の力活用

 「シェア経済」もキーワードになる。

 京都府京丹後市丹後町はタクシー会社が撤退した公共交通の空白地。16年、地元のNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」がライドシェア(相乗り)サービス「ささえ合い交通」を始めた。ライドシェア世界最大手の米ウーバーテクノロジーズの配車システムを使って登録した一般の運転手を探し、自家用車で運んでもらう。「運行されない時は行政経費が一切かからず、過疎地でも持続可能な運行システム」と市の担当者は強調する。

 自家用車を使い、客を有償で乗せる行為は「白タク」として道路運送法で禁じられている。今回は「交通空白地」に認められた特例を活用したが、全国で導入できるわけではない。「ささえ合い交通」も町外に行った場合、復路は使えない。

 官と民との線引きを一から見直し、がんじがらめの規制を抜本改革する。人口減社会に立ち向かうための第一歩かもしれない。

 森川直樹、高畑公彦、桜井佑介、平本信敬が担当しました。



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です