人民元切り下げ、政策運営の誤り 米ブルッキングス研・ダラー氏に聞く 株価まだ割高、米中関係に影響も 2015/08/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際2面にある「人民元切り下げ、政策運営の誤り 米ブルッキングス研・ダラー氏に聞く 株価まだ割高、米中関係に影響も」です。





 中国当局による人民元の対ドルレートの「基準値」切り下げを受け、市場では元相場などの先行きを巡って様々な観測が交錯している。中国経済と米中関係を専門とする米有力シンクタンク、ブルッキングス研究所のデービッド・ダラー上級フェローに影響や見通しなどを聞いた。

デービッド・ダラー氏

市場反応は当然

 ――唐突な元安誘導で国際金融市場の余波が収まりません。

 「中国当局の真の狙いは、より市場で決定される為替相場制度への移行だったはずだが、一方的な基準値切り下げで大きな誤解と混乱を招いた。政策運営を誤っている。中国人民銀行(中央銀行)はなんら元を押し下げる意図がないと公言し、実際に相場を押し上げる介入にも一時踏み切ったが、当分は通貨切り下げとみる市場の認識と格闘せざるを得ない」

 ――市場の過剰反応であり、元安は長続きはしないということですか。

 「元の下げ幅は実体経済を刺激するには小さすぎる。それでも習近平政権の動揺ぶりを印象付けるのに十分で、市場の神経質な反応は当然だ」

 「焦点は次にどうなるか。中国経済はまだいい状況を保っているため、人民元の対ドル相場は再び安定する可能性が高い。継続的な元安誘導で貿易相手国の優位に立とうとするのであれば世界経済によくない」

7%成長は可能

 ――中国経済が良好とみる根拠はなんですか。

 「サービス部門は急速に伸びており雇用と家計収入も上向いている。設備投資が弱いのは資本蓄積が過剰だったためで、当然の調整過程だ。輸出が鈍化しているのは世界経済の勢いが弱いからで、原因は中国にはない。総合的にみて中国は年6~7%の成長率を維持できるとみる」

 ――意図がどうであれ、貿易黒字国が一方的な切り下げに動くのは国際通貨のルールを逸脱しているのでは。

 「中国は巨額の貿易黒字を抱え、黒字が拡大している。その点で通貨の切り下げを正当化できる理由はない。切り下げが続けば、米中関係にも大きな緊張をもたらす」

 ――上海株式市場などの調整はいつまで続くとみますか。

 「(急落前の上昇局面で)中国の株価は100%以上も上昇した。今のところ3割ほど調整して下げた水準にあるが、まだかなり割高だ。中国経済への視線は厳しい」

 ――米金融政策への影響をどうみますか。

 「中国の発表後、(米短期金利)先物市場が織り込む9月利上げの可能性は急落した。個人的に9月の可能性はまだ高いと思うが、元安が続いたり中国経済の悪化が明らかになってくれば利上げは遅れる」

(聞き手は矢沢俊樹)



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