企業は「伏業」を直視せよ 2018/07/06 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「企業は「伏業」を直視せよ」です。





ロート製薬が2016年、「社外チャレンジワーク」などの制度で副業を解禁してから約2年がたった。従来は副業といえば一部のベンチャー企業の話だったようだが、先日は国家公務員にも兼業が解禁されるとの報道があり、社会に定着してきた感もある。しかし実態は副業を解禁する企業は少なく、結果として会社が認めない「伏業」にいそしむ従業員が増えているという問題を提起したい。

人事コンサルタントをする私のもとには企業から「副業を認めたい」という相談が多く寄せられる。しかし、そのうち実際に副業を解禁する企業は1割程度というのが実感だ。リクルートキャリアの昨年の調査でも、兼業や副業を容認する企業は約1100社のうち23%にとどまった。

かたや個人の意識はかなり変わった。エン・ジャパンによる正社員約3000人を対象にした今年の調査では「副業に興味がある人」が88%にのぼり、実際の経験者も32%に達した。

企業と個人の意識のギャップが生んでいるのは、副業を禁止する企業で伏業をする社員の増加だ。伏業とは読んで字のごとく、勤務先に黙って本業以外の仕事をしている社員である。

副業は働き方改革の1つとしても脚光をあびている。たとえ勤務先が禁じていても「バレなければいい」と副業をはじめる人は多い。弁護士らも「就業規則が禁じる副業も本来は違法ではない」との見解を公に示しており、よほどの合理的な理由がなければ禁止規定に効力はないという理解も広がっている。

もちろん自社の社員の副業を禁止することは企業の経営判断の自由だ。しかし昔からの就業規則のまま副業禁止にしているが、実は多くの社員が伏業しているという状況は企業にとってリスクが大きい。社員が本業以外の仕事で健康を損ねたり、公序良俗などに反する伏業が明らかになる危険性もあるためだ。

提案したいのは、副業を解禁した上で一定の線引きをする方法だ。業種や就労時間などによって「この条件に当てはまる副業ならOK」というホワイトリストをつくるのがわかりやすい。就業規則に副業をきちんと位置づけて社員に実態を届け出てもらえば、ガバナンス上のリスクは明らかに減る。さらに企業が次の成長分野を定め、社員が副業を通じて新たな技能を習得するというような前向きな人事戦略も可能となるだろう。

 今回の意見は日本経済新聞社が運営する投稿プラットフォーム「COMEMO」(https://comemo.io/)から転載しました。メールでの「私見卓見」の投稿はkaisetsu@nex.nikkei.comまで。住所、氏名、年齢、職業、電話番号を明記。原則1000字程度で添付ファイルはご遠慮下さい。趣旨は変えずに編集する場合があります。電子版にも掲載します。



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