企業も個人も年金も 日本の海外資産、初の1000兆円 成長取り込みへ投資シフト 2017/10/22 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「企業も個人も年金も 日本の海外資産、初の1000兆円 成長取り込みへ投資シフト」です。





 日本の企業や個人が海外に持つ資産が初めて1000兆円を突破したもようだ。この5年で約5割増え、国内総生産(GDP)の2倍に拡大。輸出などで稼いだお金を外国の株式や債券に回し、その稼ぎを海外に再投資する動きも活発だ。所得収支を通じて海外の成長を取り込めるようになる一方、資産価値が海外景気や為替変動の影響を受けやすくなっている。

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 財務省の集計では6月末の海外資産残高は990兆円。7月以降、証券投資だけで約10兆円強増えた。円安で海外資産の評価額も増え、1000兆円を上回ったのは確実な情勢だ。

 国際通貨基金(IMF)によると、海外資産が世界で最も大きいのは米国の23兆ドル(約2600兆円)だが、過去5年の伸びは1割弱にとどまる。ドイツやフランスなどはこの5年で小幅に減っており、先進国のなかで日本の伸びが際立つ。

 1000兆円のうち半分弱を占めるのが証券投資だ。6月末時点で453兆円と3年間で100兆円近く増えた。日銀が2013年に始めた金融緩和で市場金利が大きく低下。日本国債は比較的金利の高い20年債でも金利が0.6%ほどだ。

 日本生命保険の筒井義信社長は「(金利が)少なくとも1%程度でなければ投資対象にならない」といい、機関投資家らは重心を海外に移している。公的年金の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用資産のうち外国証券の割合は今年6月末で37%と、5年前より17ポイント上がった。

 投資主体別にみると、企業や金融機関の6月の残高は168兆円と、この5年で約2倍だ。米国やアジアに商機を求め、企業がM&A(合併・買収)を活発化。海外で稼いだお金を現地での設備増大など新たな投資に回す傾向も強まっている。

 個人の海外投資意欲も旺盛だ。日銀の資金循環によれば個人の投資信託は6月末に初めて100兆円を超え、この5年でほぼ倍増。人気は米国の不動産投資信託(REIT)や米低格付け債を対象とした投信だ。高齢者を中心に日本株を売った資金などを投信経由で海外に振り向けている。

 日銀の資金循環をもとに資産が膨らんだ要因をみると、円安で円建ての評価額が押し上げられる「価格変動」による部分が5年間で150兆円だった。これに対し、実際の投融資に伴う「資本流出」は5年間で200兆円強に上り、年40兆円ものペースで新たに資金が向かっている計算だ。

 日本は有数の対外債権国で、海外資産から負債を差し引いた対外純資産も約350兆円と過去最高の更新を続けている。投資先でみると証券投資の場合は半分弱が米国で、3割弱は欧州だ。直接投資では北米とアジアが中心。投資収益で稼ぐ構図が強まっている。

 同時成長期待から世界の株式市場ではグレートモデレーション(大いなる安定)への安心感も広がり、受け取る果実も膨らみそう。ただ対外資産の積み上がりで「日本経済が海外の景気や為替変動に一段と振らされやすくなっている」(みずほ証券の末広徹氏)のは事実で、海外リスクも強まっている。(後藤達也)



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