企業収益、試練の時(下)6社に1社は最高益 しなやかな戦略、市場開く 2016/05/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「企業収益、試練の時(下)6社に1社は最高益 しなやかな戦略、市場開く」です。





 成田空港に訪日客が次々と訪れる意外な場所がある。TOTOの体感型ギャラリー。美術館のような空間に温水洗浄便座「ウォシュレット」付きトイレを配し、母国での購入を促す。米国から来た女性(42)は「いいわね。私の家にも入れたい」と喜んでいた。

 同社の2017年3月期の経常利益は1割強増え、3年ぶりに最高益を見込む。けん引役は海外でのウォシュレット人気だ。もはや日本だけの「ガラパゴス商品」ではない。中国では訪日客の口コミもあり、幅広い層に「認知が進んでいる」(喜多村円社長)。今期の海外での利益は4年前の3倍に高まる。

新興国で特許開放

 全体では足踏み感が出る企業収益だが、6社に1社は経常最高益を見込む。円高や新興国景気の減速など荒波を乗り越える好調組に共通するのが、新たな需要の創出力だ。

 4年連続の経常最高益を見込むダイキン工業はアジアで、「現地通貨ベースで2桁の売り上げ成長を見込む」(十河政則社長)。原動力は省エネ性能の高いエアコンだ。最新の冷媒に対応したエアコンの特許を12年の発売前から新興国で無償で開放するなど、強みのある製品が急速に普及する環境を自ら整えてきた。

 上場企業全体を見ると、稼ぎ頭の自動車が円高によって今期は利益を減らし、通信など非製造業の存在感が強まる。ただ好不調の波に左右されやすい業界でも、しなやかに収益構造を変え、稼ぐ力を強めるところが増えてきた。

 今期に経常最高益を見込む化学中堅のデンカも、そうした1社だ。祖業は肥料だが、今はインフルエンザワクチン事業が伸びる。1979年に東芝子会社を買収し医薬品に参入、ワクチン以外でも検査試薬など医療関連を育成中だ。吉高紳介社長は「コモディティーから脱却し、健康関連を伸ばす」と意気込む。

 今期に経常最高益を見込む工業用ガス大手のエア・ウォーターは、これまでの買収企業が約100社。売上高の6割程度が買収企業という「ねずみの集団経営」(豊田昌洋会長)が特徴だ。ニッチ分野で国内トップシェアを狙える企業を育て、特定分野の需要に左右されない体質を磨く。

手元に挑戦の原資

 挑戦のための原資は積み上がる。上場企業の手元資金は100兆円を超す。決算で設備投資計画を開示した主要180社は今期、設備投資を前期比6%増やし、研究開発費(100社)も3%増やす。将来の構造転換に向け、積極投資に動き出す企業も多い。

 レコフによれば1~4月の日本企業のM&A(合併・買収)は前年同期に比べ8%増えた。キヤノンは新事業育成に向け、6655億円で東芝メディカルシステムズの買収を決めた。NTTデータも米デルの情報技術サービス部門を買収する。

 逆風を商機と捉え、前に進めるか。改革を止めないことが成長への早道だ。

 菊池貴之、押切智義が担当しました。



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