企業収益 試練の時(上) 円安一服、消える3兆円 追い風やみ、地力問う 2016/05/23 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の1面にある「企業収益 試練の時(上) 円安一服、消える3兆円 追い風やみ、地力問う」です。





 円安と旺盛な外需がけん引してきた企業収益が転機を迎えた。経常利益が7年ぶりに過去最高を更新した前の年から一転、決算が出そろった2016年3月期は4年ぶりに減益に転じた。今期も3%の増益にとどまる。経営環境の変化に企業は揺さぶられている。

資源安も重荷に

 「これまで数年間は追い風参考記録。風がやみ、等身大の姿が見えてきた」

 トヨタ自動車の豊田章男社長が決算会見で語ったこの言葉が、今回の決算を象徴する。まず、企業収益は大きく為替に翻弄された。

 自動車や電機といった主要製造業20社は過去3年間で営業利益を3兆4千億円、率にして1割強積み上げた。このうち為替による押し上げ額は3兆1千億円と大部分を占めた。この追い風が今期は逆風に変わる。為替の想定が円高に振れることで、これらの企業にとって今期、為替は2兆円の減益要因になる。

 円高の影響は為替に直接左右されないはずの内需企業にも及んでいる。観光庁によると1~3月の訪日客1人あたり旅行支出は前年同期比マイナスになった。三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長は訪日客消費について「頼りにしてはいけない」と語る。

 新興国経済の減速も重荷だ。資源をがぶ飲みしてきた中国景気が減速し、他の新興国や主要国経済も変調してきた。商船三井は前期、コンテナ船などで減損損失を計上、今期も経常減益を見込む。「潮目を読めなかった」と池田潤一郎社長は悔しがる。資源安で前期、商社や石油大手などは計3兆円もの損失を計上した。

全体では堅調

 では、為替の追い風が無くなった「等身大」の企業収益はどんな姿か。本質はさほど悪くはない。主要製造業20社について仮に為替影響が無かったとして利益を試算すると、前期も今期も増益となる。多くの製造業は円安局面でもタガを緩めず合理化を進め、筋肉質になった。HOYAは「(前期は)円安の追い風を除いても増益」(広岡亮最高財務責任者)だった。

 全体を揺さぶるのはごく一部の企業という実態もある。電力を除く上場事業会社全体の前期の経常利益額は約31兆円。業績の悪化が目立った三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、東芝、シャープの5社だけで損益悪化額は2兆円に達し、全体の増減益率が7ポイント近く悪化した。5社を抜けば前期は増益で、総じて堅調だ。

 とはいえ、資源や為替の動きと切り離せないのも日本経済の実態だ。一時は1ドル=105円台まで円高に振れた円相場は足元で1ドル=110円台まで戻り、利益の下振れ懸念はやや後退している。しかし、この先の相場は読み切れない。

 輸出比率が約8割と高いマツダは、東日本大震災後の超円高時代の教訓からメキシコで完成車の現地生産を始めたほか、タイにエンジン工場を設け、為替変動への抵抗力を高めた。「本質的なコスト改善の実力が試される時期に来た」と小飼雅道社長は話す。

 今期は、外部環境の変化に対する各企業の耐性が問われる年となる。



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