会社研究 取り戻した成長力(2)ミネベア 「第3の柱」M&Aで築く 2015/06/25 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「会社研究 取り戻した成長力(2)ミネベア 「第3の柱」M&Aで築く」です。





 ミネベアの復活が鮮明だ。2015年3月期は連結営業利益が601億円と17年ぶりに過去最高を更新。今期も最高益をめざす。従来の主力である車向けベアリング(軸受け)と需要が拡大するスマートフォン(スマホ)用バックライトが収益をけん引した。余勢を駆ってM&A(合併・買収)をテコに売上高で前期比倍増の1兆円という野心的な目標を掲げる。

LEDバックライトがけん引(タイのロッブリ工場)

車とスマホ両輪

 「申し訳ないが、今期はこれ以上作れない」。昨夏、ミネベアのカンボジア工場を相次ぎ訪れた中韓の大手スマホメーカー幹部にミネベアの担当者は断りを入れた。彼らが求めたのはスマホの液晶を照らす発光ダイオード(LED)バックライト。同工場はフル生産で追加受注の余地がない。

 世界の上位スマホメーカーの多くがミネベアの顧客。なかでも400ドル以上の上位機種の世界シェアは約8割だ。スマホの薄型化でメーカーから求められるバックライトの厚みは3年で3割減。軸受けで培った精密な金型加工技術がミネベアの競争力を支える。

 今やバックライトを中核とする電子機器事業の営業利益は297億円と全体の半分を稼ぐ。だが09年ごろは折り畳み携帯電話に細々と採用されているにすぎず、売上高も200億円前後で低迷。市場からは「撤退すべきだ」との声も出ていた。

 その将来性に着目したのが、09年4月に就任した貝沼由久社長だ。「当社の精密加工技術を生かせばナンバーワンになれる」と判断。将来の需要拡大をにらみタイ、カンボジアの工場に大規模投資を実行して能力増強を進めてきた。そこにここ数年のスマホブームが追い風となり、売上高は4年で5倍強に拡大した。

 拡大ばかりではない。就任以降、貝沼社長は全事業の「棚卸し」を実施。新興国勢との競争激化で苦戦が続いていたパソコン用キーボードや一部のモーター事業から撤退を決めた。

 多角化事業の多くは貝沼社長の義理の父で1966年から会長も含め20年超トップに君臨した高橋高見元社長の遺産だ。「M&Aの風雲児」と呼ばれ国内外で20社超を買収。日本初の敵対的買収とされる三協精機(現日本電産サンキョー)株の買い占めで名をはせた。

 娘婿の貝沼社長は伸びきっていた「戦線」を整理。投資余力を軸受けとバックライトに集中的に振り向けることで2000年以降の業績低迷期を乗り越え、最高益を達成した。株価も今月上旬、2358円の上場来高値をつけた。

年商目標1兆円

 復活を果たした今、貝沼社長の視線は次に向かう。このほど21年3月期に売上高1兆円、営業利益1000億円という目標を掲げた。軸受けとバックライトなど既存事業の伸びで売上高は8000億円程度まで可能という。残る2000億円規模はM&Aを活用して第3の柱を築く考えだ。

 攻めの姿勢を強め始めた貝沼社長。だが不振事業の整理が一巡した13年3月期以降に決めた買収は13年のドイツ軸受け会社、14年のスイス無線通信会社などあくまで本業周辺に限定している。

 第3の柱はまだはっきりしないが、有望分野の一つが照明事業だ。バックライトで磨いた照明技術と傘下の無線会社の技術を融合。人や車の動きに合わせ照明の向きや明るさが変わる街路灯など都市照明の分野で需要開拓を狙う。こうした柱をいかに太くしていけるかが今後の成長力を左右する。

(遠藤賢介)



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