会社研究 経営者が選んだ注目銘柄(6) ダイキン 米国新工場で8千人雇用 2017/1/13 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「会社研究 経営者が選んだ注目銘柄(6) ダイキン 米国新工場で8千人雇用」です。





 「タイミングは追い風だ」。昨年12月初め。米エアコン大手、キヤリアの米国内工場で演説するトランプ次期米大統領の映像を、ダイキン工業の十河政則社長は食い入るように見つめていた。

 キヤリアはトランプ氏による口先介入を受け、メキシコへの生産移転を中止すると発表した。米国最大のライバルが巻き込まれたニュースに緊張を感じつつ、思わず口をついたのが「追い風」という言葉だ。

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2016年10月に試験操業を始めたダイキンの新工場(米テキサス州)

 ダイキンは今年5月、米テキサス州で新工場を稼働させる。ヒューストン郊外にある東京ドーム約40個分の敷地は、シリコンバレー風に通称「キャンパス」。約500億円を投じ、米国の4工場を集約して生産能力を5割引き上げ、来年には8千人を雇用する。「もっとアピールした方がいいかも」。開所式に州知事や議会関係者を招く予定だ。

 ダイキンは東南アジアや中国のエアコン需要の伸びを取り込み、2017年3月期の連結営業利益は前期比2%増の2220億円と4期連続で過去最高を更新する見通しだ。好業績と円安進行を追い風に、株価は10日に1万1300円と上場来高値を更新した。

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 21年3月期には営業利益を今期予想比6割増の3600億円に増やす経営計画を掲げる。換気フィルター事業の強化など12の重点施策の1位に据えるのが、米国エアコン事業の強化だ。市場規模は年間約4兆円と東南アジアや欧州をしのぎ、年5%前後で膨らむ。

 ダイキンは12年秋に米グッドマン・グローバルを約3千億円で買収し、米国に本格参入した。買収後も増収を続け、調達の統合などのシナジー効果も上げている。だが一方で、ある幹部は「社内で描いたほどにはシェアを伸ばせなかった」と打ち明ける。米国ではキヤリアなどに次ぐ「4位のまま」(十河社長)だ。

 直面するのは、米国の空調市場の独自性。世界で一般的な、室外機と室内機を組み合わせる方式はごく一部。建物に太い配管を巡らせて空気を送る方式が主流だ。エアコンは屋外やボイラー室に置かれ、工事業者が選ぶことが多い。「消費者はどこのメーカー製か気にもとめない」(同社)

 オバマ政権下で環境規制も想定ほど進まず、買収当初に当て込んだ消費電力が少ない日本式のエアコンは普及が遅れた。トランプ氏は選挙期間中、温暖化対策の国際枠組みであるパリ協定から「離脱する」とまで宣言。新政権の環境政策は逆風になりかねない。

 「政治の動きに合わせた経営力が求められる不透明な時期に入った」。井上礼之会長も4日、賀詞交換会で記者団にこう漏らした。

 今の米国事業は買収後ののれん代償却が重い。連結売上高の3割弱を占めるが売上高営業利益率は6%強と、2ケタに乗る海外の他の地域より低い。ゴールドマン・サックス証券の諫山裕一郎氏は「経営計画の達成には米国の収益改善策がカギになる」と指摘する。

 ダイキンは米国で製品力を高め、改めて攻勢に乗り出す。米国型の全館空調に得意のインバーター技術を盛り込み、環境意識の高い顧客を狙い打つ。約6万店の代理店にはこうした機種の取り扱い技術を広め「キャンパス」稼働による生産性改善ももくろむ。

 安定した成長力が評価され、市場では「ダイキン株は海外景気が振るわない時ほど機械セクターで相対的な強さを発揮する」(ドルトン・キャピタル・ジャパンの松本史雄氏)との声がある。経営力で期待に応えられるか。米国事業が答えを示す。

(大西智也)



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