会社研究 経営者が選んだ注目銘柄(5) ソフトバン ク 「ITのバフェットになる」、手腕を試す巨大ファンド 2017/1/12 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の投資情報面にある「会社研究 経営者が選んだ注目銘柄(5) ソフトバンク 「ITのバフェットになる」、手腕を試す巨大ファンド」です。





 「テクノロジー業界のバークシャー・ハザウェイを目指す」。ソフトバンクグループの孫正義社長は「オマハの賢人」として知られる米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社を引き合いに将来像を語る。

 その命運を握るファンド事業の立ち上げ準備がロンドンで着々と進む。退任したニケシュ・アローラ前副社長の右腕だったインド人幹部、ラジーブ・ミスラ氏をトップに投資銀行出身者ら数十人規模の体制になる見込み。今年度内にも運用を始める。

■桁違いのスケールに

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 ファンドの運用規模は最大1千億ドル(約11兆5千億円)と、9兆3千億円の時価総額のソフトバンクを丸ごと買える金額だ。投資先はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」や人工知能(AI)などIT(情報技術)分野で有望なベンチャー企業。サウジアラビアの政府系ファンドが450億ドルを拠出する最大の資金の出し手だ。ソフトバンク自身も250億ドルを出す。

 新たなファンド事業は過去の投資と比べてもそのスケールは桁違い。ソフトバンクは投資会社の様相を再び強めそうだ。トランプ次期米大統領、ロシアのプーチン大統領……。孫社長が“トップ外交”で国家を味方に付けようとするのも、投資に伴う事業の広がりをにらみ、相手の懐に飛び込んでビジネスをしやすくする狙いがある。

 同社の姿は大きく変わる。ファンド事業ではサウジに次ぐ2番目の出資者だが、運用の責任を負うため、連結対象とする。ソフトバンク以外の投資家の資金拠出分9兆円弱が最終的に連結総資産に乗ってくる。昨年9月末の総資産は22兆円なので、約4割も膨らむ計算だ。投資回収の状況や評価損が連結業績を左右することになる。水物のファンド事業の比重が高まれば、収益がぶれやすくなる懸念はある。

 株価は昨年1年で26%も上昇した。昨年9月に3兆3千億円を投じ、英半導体設計のアーム・ホールディングスの買収を完了。世界中に広がるアームの半導体チップとソフトバンクの通信インフラがつながり、新たな事業モデルを生むとの期待が高まった。

■スピードと粘りカギ

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6日、会談したトランプ次期米大統領(左)とソフトバンクの孫社長(ニューヨーク)=AP

 「もっとやりたくなった」。アーム買収はアローラ氏へのトップ禅譲をわずか1年で撤回した孫社長の悲願だった。市場では「孫社長の先見性への期待が改めて高まっている」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券)という。

 孫社長は昨年8月上旬、約10年ぶりにゴルフのベストスコアを68に更新した。直前の1カ月間に6回も海外出張が立て続けに入り困憊(こんぱい)していたはずだが、アームの買収発表という大仕事を終えた高揚感と集中力で久々にイーグルも出た。経営でも孫社長のここぞの踏ん張りで難局を乗り切ってきた。過去の投資で孫社長の行動力が成果を生んだ例も多い。

 1999年に中国ネット商取引大手アリババ集団への出資を5分で決めたのは有名な話だ。4000万ドルの出資提案に対し、「そんなに要らない」と固辞する創業者の馬雲(ジャック・マー)氏を粘って最終的に2000万ドルで口説き落とした。アリババ株は一部手放したものの、価値はなお数兆円に上る。

 ファンド事業の成功には有望な投資先を見極める目利き力はもちろん、スピードや粘りがこれまで以上に問われる。良くも悪くも孫社長次第。年明けの株価は、大納会から6連騰の出足となった。

(竹内弘文)



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