個を活かす組織をつくる(1)全体重視の経営、逆転が必要同志社大学 教授 太田肇 2017/7/17 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「個を活かす組織をつくる(1)全体重視の経営、逆転が必要同志社大学教授 太田肇」です。





 「適応が適応を妨げる」という言葉があります。かつて恐竜は食糧豊富で安定した環境に適応して巨大化し、地球上に君臨しましたが、その後環境が激変すると巨体がアダとなり絶滅したともいわれます。ある環境に適応しすぎると、環境が変わったときは大きなハンディになるのです。

 企業の組織も同じです。戦後の日本企業は人事部主導のもとに新卒を一括採用し、画一的な研修を施して平等に処遇してきました。また定年までの雇用を保障し、寮・社宅のほか福利厚生も充実させることで、企業への忠誠心や社員の一体感を醸成してきました。

 「全社一丸」を掲げ、個よりも全体を重視する経営は高品質のモノやサービスを安定的に供給することが求められる工業社会に見事に適合し、高い生産性を実現しました。そして世界が驚く高度成長、安定成長をもたらしたのです。

 ところが1990年代にIT革命が勃発し、並行して経済のソフト化、グローバル化が急速に進むと状況は一変します。一言でいうなら、日本企業が築いてきた人や組織の強みが自動機械やコンピューターに取って代わられたのです。

 その結果、人間には機械やコンピューターに代替されない創造力、洞察力、総合的な判断力、交渉力といった人間特有の能力が高い水準で求められるようになります。これらの能力は画一的なシステムで大量に育成できるものではなく、強制や命令によって引き出せるものでもありません。

 これらの能力を最大限に発揮して企業に貢献してもらうには、個人の価値観や目的・動機などを踏まえ、組織を設計していく必要があります。つまり従来とは逆のアプローチをとらなければならないのです。

 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やAI(人工知能)の普及により、今後この潮流は一層強まるでしょう。また「働き方改革」をはじめ職場の問題を解決するためにも個の視点が不可欠です。この連載では「個を活(い)かす組織」づくりの必要性とその方法について解説します。

 

 

 おおた・はじめ 神戸大院博士前期課程修了、京都大博士。専門は組織論



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