個を活かす組織をつくる(10)「行動」ではなく「機能」統合同志社大 学教授 太田肇 2017/7/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「個を活かす組織をつくる(10)「行動」ではなく「機能」統合同志社大学教授 太田肇」です。





 本連載を締めくくるに当たり、組織と個人の関係性について説明しましょう。組織論では「分化」と「統合」を広い意味での対立概念としてとらえる伝統があります。こうした考え方をする以上、分化を進めるには限界があります。実際、経営者は社員の自律が大切だと理解していても、組織がバラバラになるのを恐れて尻込みしがちです。

 このジレンマから抜け出すカギは、機能と行動を切り離すことです。組織と個人の統合が必要なのは機能の面であり、個人の行動ではありません。一人ひとりが組織内で役割を果たし、組織に貢献している限り、行動はバラバラでもかまわないのです。そして通信技術の発達や経済のソフト化により、比較的容易に機能と行動を切り離せるようになりました。

 たとえば上司や同僚、取引先と電話やメールで連絡がとれれば自宅や外出先で仕事をしてもよいし、地球の裏側に住んでいてもよいのです。この連載で取り上げた多様な働き方、オフィス環境の見直しなども機能と行動の切り離しによって実現できるのです。経済活性化の目的から政府が推進しようとしている副業・兼業についても同じです。

 20年あまり前に筆者は全国の主要企業を対象に、統合の方法と生産性や満足度との関係を分析しました。その結果、行動を分化しながら機能として統合している「間接統合」企業の方が、分化せずに統合している「直接統合」企業より、業績も社員の満足度も高いことが判明しました(表)。当時に比べると情報通信技術は格段に進歩しており、行動と機能の切り離しははるかに容易になっています。個人を活(い)かすことが組織の利益にもつながる時代になったといえるでしょう。

(次回から「シニア雇用の人事管理」を連載します)



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