個を活かす組織をつくる(3)意欲と能力、業績を大きく左右同志社大 学教授 太田肇 2017/7/20 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の経済教室面にある「個を活かす組織をつくる(3)意欲と能力、業績を大きく左右同志社大学教授 太田肇」です。





 価値の源泉がモノそのもの、すなわちハードウエアからアイデアや技術などのソフトウエアに移り、IT化で仕事の代替が進むと、人間に求められるものが大きく変化します。

 定型的業務や力仕事では一人ひとりの業績格差はたかが知れています。せいぜい2、3倍でしょう。それに対して知的な仕事、たとえば研究開発やデザイン、資金運用などの仕事では、何十億円もの利益に貢献する人がいる一方、ほとんど貢献できない人もいます。つまり個人の意欲と能力が企業の業績を大きく左右するようになったのです。

 またIT化によって周辺業務の効率化や外部委託が容易になったため、一人でまとまった仕事がこなせるようになりました。その結果、職種によっては雇用労働と独立自営の境界もあいまいになっています。

 ところが従来の共同体型組織は、このような変化を想定していません。画一的な採用と育成、平等な処遇のもとでは社員の意欲も能力も均質になります。いわば「床」はあるが「天井」もある状態です。自営業に近いような働き方を認めることもできません。そのため社員の意欲と能力を十分に引き出せず、人材獲得競争で欧米やアジアの企業に後れを取ったりします。

 野心と才能に満ちあふれた人材を獲得し、「天井」を突き抜けるようなモチベーションを発揮してもらうには、組織や集団から個人を「分化」する必要があります。ここでいう「分化」とは「個人が組織や集団、他人から物理的、制度的、もしくは認識的に分けられること」を意味します。

 たとえば仕事の分担や役割を明確にして権限と責任を与えたり、まとまった仕事を任せたりすると、モチベーションは上がります。自律的に仕事ができれば創意工夫の余地も広がり、内発的モチベーションが高まります。努力次第で大きな成果と報酬が得られるので外発的モチベーションも上がります。また独力で物事を成し遂げることで自己効力感、すなわち「やればできる」という自信がつき、大きな目標に対する挑戦意欲も生まれます。社内独立の制度を取り入れたところ、生産性が3倍に上がった事例もあるくらいです。



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