個人投資家のナゼ(下) 「もうからない」のトラウマバブルの傷 拭う新世代 2017/2/8 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「個人投資家のナゼ(下) 「もうからない」のトラウマバブルの傷 拭う新世代」です。





 2月9日、NTTが東京証券取引所に上場してちょうど30年になる。NTT上場を機に投資を始めたという個人は多いが、同株の評価は購入時期によって大きく違う。

NTT株で明暗

 「政府売り出し株でもうけようと思わない方がいい」。熊本県の元公務員男性(64)は振り返る。上場2カ月でNTT株は売り出し価格の2.7倍に上昇。友人のもうけ話を聞き、600万円を投じて自らも買った。

 だが数年でバブル崩壊に直面。含み損は最大約400万円に達した。足元の株価はピーク時の3分の1にとどまる。塩漬けしていた株の損失を確定させたのはようやく昨年6月になってからだ。

 千葉県の会社員男性(49)の印象は全く違う。2012年に同株を購入し、アベノミクス相場で株価は約3倍になった。「積極的な株主還元が見込める魅力的な銘柄だ」

 株式投資全般に対する印象も、世代によって異なる。スパークス・アセット・マネジメントの調査では、株式投資を前向きなイメージで捉える割合は20代で46%にのぼる一方、バブル崩壊を肌で知る40代以上では軒並み30%程度にとどまる。

 差は成功体験の有無から来る。過去30年のどこかの時点で投資を始め、日経平均株価に連動する金融商品で2016年末まで運用したとしよう。1986年末から96年末までの間に投資を始めた場合、ほとんどの年で直近までの運用成績はマイナス。だが97年末以降は大半の年で2ケタ以上の運用成績になっている。

 米国では株価が1929年の大暴落前の水準を取り戻すまで25年を要した。個人の記憶から「株はもうからない」という意識が消えるのにほぼ1世代の年月を要したことになる。世代間の差はそう簡単には消えない。

 一方で、新たな世代の投資家も増えつつある。2000年以降に成人になり、ネットを駆使する「ミレニアル投資家」。

AI助言を駆使

 「資産運用の経験は」「投資した資産が値下がりしたらどうしますか」――。5つの質問に答えれば、人工知能(AI)が最適の分散投資手法を提供する。「ロボアドバイザー」と呼ぶ資産運用の助言サービスだ。

 昨年このサービスを始めた独立系運用会社、お金のデザイン(東京・港)では利用者の8割強が20~40歳代。東京都の会社員、伊藤周作さん(34)は「簡単な操作で世界中の株式や債券などに分散投資できる」と投資へのハードルは低い様子だ。

 今は投資と無関係という人も、投資と向かい合う日が来ることはありうる。貯蓄だけでは老後もままならないうえ、高齢化で若年層への資産移転も増える。野村資本市場研究所は「控えめに見積もっても年50兆円の資産が相続されていく」と試算する。新たな層が多様な手法で成功体験をつかめれば、個人の行動原理も変わるかもしれない。

 関口慶太、押切智義、野口和弘、井川遼、森田淳嗣が担当しました。



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