働き方改革 さびつくルール 下 悩めるフリーランス 個の力生かす仕組みを 2017/9/14 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「働き方改革 さびつくルール 下 悩めるフリーランス 個の力生かす仕組みを」です。





 「当社で副業しませんか」。1月、他社に本業をもちつつ副業先として働く人の募集を始めた企業向けソフト会社のサイボウズ。数人を受け入れる過程で、担当者を悩ませる問題も浮上した。

 希望者が正社員になるか契約社員になるかなどは当人の希望も含めて相談で決める。一部の応募者は社員ではなく業務委託契約を希望したが、募集は業務開発や広報など幅広く、仕事の指示が必要な場合もある。指揮命令ととられると、業務委託契約から逸脱しかねない。「新しい働き方に合った法的枠組みがあればよいのだが」(政策渉外担当の石渡清太氏)

 日本の労働法制は企業で正社員として終身雇用されることを前提に、働く人を保護してきた。自由な立場で働きたい人の増加に、既存の制度はうまくかみ合っていない。

尾崎さんはウーバーイーツ配達員の支援会社を立ち上げた(東京都目黒区)

 「当社の配達員は個人事業主です。損害保険はご自身で見つけてお入りください」。米ウーバーテクノロジーズの料理配送サービス、ウーバーイーツの配達員になった尾崎浩二さん(39)は昨年11月、東京都内の同社相談所でこう告げられた。

 「配達で人をひいてしまったら大変だ」。何社も保険会社を回ったが、個人事業主の業務に使える保険を自力で見つけるのに3カ月かかった。苦労の経験から尾崎さんは今年7月、配達員を支援する会社を自らの手で立ち上げることにした。200人以上の配達員を束ね、「団体で保険に加入できる仕組みを作ったり機動力を生かした仕事を融通したりしたい」。

 自由に働きたい個人が企業と契約しようとすると立場は弱くなりがち。公正取引委員会は8月、既存の労働法制では守れないフリーランスを独占禁止法で守る研究会を設けたが、結論を得るまで時間がかかりそうだ。

 育児の合間など、余裕のある時間だけ働くことを選択する人も増えている。ネット経由で仕事を受発注する「クラウドソーシング」の大手、ランサーズ(東京・渋谷)によると、現在、国内のフリーランスは1122万人。いずれ労働人口の半分を占めるとの試算もある。「働くということが企業から染み出している。シェア経済での働き方に合った制度を考えるときだ」(クラウドワークスの吉田浩一郎社長)

 様々な働き方が生まれ、自立した人と保護が必要な人はひとくくりにできなくなってきた面もある。フリーランスと企業の関係では関連業界による自主ルールづくりが先行するが、水町勇一郎・東京大学教授は「法的保護がないと救済手段もなくなる。実態に合った法改正も忘れてはならない」とくぎを刺す。

 15~64歳の生産年齢人口が毎年数十万人規模で減り続けるなか、日本が競争力を高めるには多様な働き方が必要。1つの企業に縛られず、自由な時間に能力を発揮したい全ての人の力を生かす仕組みが不可欠だ。古いルールのさびを落とし、時代に合う体系に進化させ続けなければならない。



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