働く力再興 成長の条件(下) 未来は自力で切り開け 2017 /2/27 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「働く力再興 成長の条件(下) 未来は自力で切り開け」です。





 「あした肩たたきにあったら」。そんなことを考えながら働いている40~50代の人は少なくないだろう。それを不安と感じるか、前向きに受け止めるかで、その先の働きぶりはかわってくる。

島崎正彦さんは専門知識と経験を生かして、4足のわらじを履く

 島崎正彦(59)が朝日生命保険の希望退職に手を挙げたのは2002年。入社22年目の時だ。「同期の競争も激しくなく、安定している」。あえて選んだ業界5番手だが、その会社も経営悪化で安住の地でなくなった。

 島崎はその後、外資系生保など3社を渡り歩き、今は英語学校を運営する。同時に米生保調査団体の日本副代表、翻訳家、大学講師も兼ねる。60歳目前で4足のわらじを履けるのは、保険の専門知識と国際業務で培った英語力があるからだ。

 ミスミグループ本社などで47の新規事業を立ち上げた守屋実(47)。今は会社に属さずフリーランサーとして働く。「人生80年と考えれば少しの間」。約20年、会社員生活を送ったが、周囲の勧めもあって独立した。

 今はミスミで培った知見を生かし、大手企業から新規事業の相談を受けたり、自らベンチャーの経営にかかわったりしている。独立後に立ち上げた事業は18。会社員時代よりペースをあげた。

 「20代、30代ならやり直せる。40代になって、いまさらどうしろというんだ」。働き方改革に注目が集まる中、こんなぼやきを聞く機会が増えた。リクルートワークス研究所の戸田淳仁(37)はベテランの域に入った働き手にもどかしさを感じる。「40代、50代は将来を見据え、自律的にキャリアを伸ばそうとする意志や発想がない」

 働き盛りが途方に暮れたままでは困る。年金支給開始年齢の引き上げなどで、中年以下の世代は社会保障の負担が受益を上回る。今の20代は生活のために60歳を超えても働く人のほうが多いだろう。40~50代も逃げ切れるわけではない。健康であれば、できるだけ国の世話にならずに働く。その稼ぎが自らを潤し、国を豊かにする。

 働き続けるハードルは思ったほど高くない。働き手に高度な能力も特殊な技術も求めない会社もある。ほしいのは経験。

 加工メーカーの加藤製作所(岐阜県中津川市)が採用するパートは60歳以上の“人柄のよい人”。異業種出身の中高年を若手正社員と組ませ、若者に仕事のノウハウを注入してもらう。かつての和菓子職人が部品の加工に、市役所の窓口担当者が検品作業にあたる。社会人としての経験があれば務まる。

 肩たたきにあったらという問いを「いまの会社以外で働くとしたら」と言い換えてみる。自分の売りは何か、何をしたいか。そんな自問に答えが出たら、動くにせよ、残るにせよ、自力で生む成果は今までより大きくなる。=敬称略



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