働く力再興 成長の条件(中) プロの技で差をつけろ 2017 /2/26 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「働く力再興 成長の条件(中) プロの技で差をつけろ」です。





 せっかく正社員になったのだから、その立場は守りたい。非正規雇用が働く人の4割弱を占める今、そんな正社員至上主義に傾く人は多い。就職氷河期を乗り越えた20~30歳代は安定志向が強い。その姿は時に横並びに安心しているようにもみえてしまう。

ピーチの赤津さんは客室乗務員とファッションモデルを兼務する

 金子雄一郎(29)は大学卒業後、日立造船に入った。原価計算や経理を担当していたが、「IT(情報技術)を使って経理の効率化に挑戦したい」と一念発起。26歳でフィンテックベンチャーのマネーフォワード(東京・港)に転職した。

 前職から経理の効率化に知恵を絞り、プログラミングを独学で習得。いま人工知能(AI)を駆使して会計ソフトを開発している。「かつて感じた経理業務の無駄を解消できる。面白い」。専門知識をもとに新たなビジネスの切り口を見つけようとしている。

■根強い安定志向

 大手メーカーを辞めた金子。その決断を同世代の人はどうみるか。もったいないとみる人のほうが多いのだろうか。

 マイナビ(東京・千代田)のネット調査をみると、2017年3月卒業見込みの大学生・大学院生の48%が就職先は「大企業がよい」と回答。企業選びで重視する条件として、29%が「企業の安定性」を選んだ。01年卒の調査以来最高だ。

 大企業でも倒産の憂き目に遭う時代。安定志向は一瞬で吹き飛ぶ。武田薬品工業会長の長谷川閑史(70)は「日本人はひとつの会社の中で通用するスキルだけを磨きがちだ」とみる。どこでどう働こうと、生きる技量があるか。そこが新たな一歩を踏み出すカギだ。

 格安航空会社ピーチ・アビエーションの赤津佳也(34)の働き方はどうか。大学でデザインを学び、アパレル業界に就職。29歳のとき、「消費者と接する仕事がしたい」と航空業界に飛び込んだ。客室乗務員を務めつつ、前職の経験を生かして通販サイトのファッションモデルもこなす。

 副業には相乗効果がある。副業先の20~30代の女性からは「ピーチがどう見られているか生の声を聞ける」という。赤津は有用な情報をピーチの業務改善策として会社に提案している。

■一生安泰はない

 日本経済新聞社が有識者とまとめた働き方改革の提言では、時間や場所の制約を受けない自由な働き方を基本に据えた。働き手は時間をうまく使い、特定の分野のプロになるべく能力を伸ばす。それを企業も後押しする。プロ意識を持つ働き手が増えれば、成長を押し上げ、生産性も高まる。

 金子や赤津の働き方に共通するのは、1社、1つの仕事に縛られず、自らの能力を磨きながら挑む姿勢だ。大企業に入れば終身雇用で一生安泰。そんな時代は終わった。会社を離れたとき、空っぽの自分に気付いて立ち尽くすか、未来を見据えて今から備えるか。答えは自明だ。

(敬称略)



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