共育社会をつくる(中) 次代の成長、人づくりから 精鋭 育成「熱いうちに」 2017/6/15 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の第一面にある「共育社会をつくる(中) 次代の成長、人づくりから 精鋭育成「熱いうちに」」です。





 年間出生数が100万人を割った日本で、教育談議が沸いている。安倍晋三首相は憲法改正による大学や短大の無償化に意欲を示す。ただ、話題は場当たり的にお金をばらまくことばかり。少ない子供をどんな人材に育て、どんな支えが必要か。未来を見据えた議論は置き去りのままだ。

信田さんは新潟から米国に飛び立つ(新潟県南魚沼市)

 ハーバード、エール、プリンストン。東京大学合格者数トップの開成高校は今年、21人の海外大合格者を出した。前年の3倍だ。

 「特別なことはしていない」と柳沢幸雄校長。海外で活躍する先輩に憧れ、生徒自らが手を挙げる。ただサポート体制は万全。願書の書き方を教え、英語試験対策を手伝う。「そうすれば自然と飛び立っていく」

 グローバル競争のなかで日本が成長を続けるには、子供たちを変化への対応力に富む「精鋭」に育むことが欠かせない。世界へ羽ばたくのはその一歩。意欲を支え、働く力の底上げを願う人々が立ち上がる。

■学外のサポート

 「社会のリーダーに。グローバルなリーダーに」

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が設立した「柳井正財団」。若者の留学を資金援助する。第1期生に選ばれた新潟県在住の信田絵里香さん(19)は県立高校を卒業。最大年7万ドル(約800万円)の資金を得て、9月に米カリフォルニア大学に進む。

 地方からの道は「険しかった」。リスクを心配する声や情報の少なさ。背中を押したのは学外の人々だ。国際交流の「HLAB」(東京)の会合では、地方から海外大に進んだ先輩に出会った。資金の支えも得て信田さんは「勉強が楽しみ」と高揚する。

 埼玉県立浦和高校の同窓会は、卒業生からの年1千万円の寄付で約130人の生徒を海外へ送った。同校OBで食品スーパー・ヤオコーの川野幸夫会長(75)は「成長を担う若者への価値ある投資だ」と話す。

 人材を豊かに育むカギは、実は幼いころにある。

■挑戦の切符渡す

 「人生最初での投資が国の長期的発展につながる」。経済協力開発機構は提唱する。ノーベル賞受賞者のヘックマン・シカゴ大学教授が、就学前に質の高い教育を受けた子は成績がよく犯罪率も少ないと分析。人的投資が社会に与える好影響を年率7~10%とはじいた。4歳の時に投資した100円が65歳で6千~3万円程度になり、社会に還元されることを意味する。

 「鉄は熱いうちに打て」。英、独など各国は子供の発達の大規模調査に取り組む。東大大学院の秋田喜代美教授は「遊びや集中力といった、非認知能力を育てる教育の『質』を重視するのが世界の流れ」と話す。

 一方の日本。質の議論は世界に比べ未成熟だ。「重要なのは教育の供給側への投資」と慶応義塾大学の中室牧子准教授は指摘する。

 保育士と気象予報士の肩書を持ち、スーパー保育士と呼ばれるアカペラグループ「RAG FAIR」の奥村政佳さん(39)は、園児に雲の仕組みを教え、想像力を育んだ。「好奇心を引き出せば、どんな子でも伸びる」。この流れをもっと太くする必要がある。

 生まれた場所や家庭によらず、子供の眠れる能力を最大限引き出す。挑戦への切符を渡す。人口が縮んでも、伸びる国にするヒントはそこにある。



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