出光・昭シェル薄氷の統合(2) 「家族よりも会ってる」 2018/07/31 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「出光・昭シェル薄氷の統合(2) 「家族よりも会ってる」」です。





「家族よりも頻繁に会っている気がするな」。出光興産会長の月岡隆(67)が笑いながら話しかけるのは、昭和シェル石油社長の亀岡剛(61)だ。2人は出光が昭シェルを完全子会社化して統合すると発表した7月10日の記者会見にそろって登壇。2015年11月の基本合意以来、週に1回程度、食事や酒を交えて膝をつき合わせてきた。

(画像:経営統合を発表し、握手する出光興産の月岡会長(右)と昭和シェル石油の亀岡社長(10日))

話題の中心は両社の事業提携や、社員を集めた交流会の様子など。亀岡が「もう一緒になっているようなものですね」と水を向けると、月岡は「あちらさんは結構苦労しているみたいじゃない」と返すのが定番だ。

あちらさんとは、17年に経営統合したJXTGホールディングス。業界首位のJXホールディングスと2位の東燃ゼネラル石油の統合で国内のガソリン販売シェアは50%超に達した。ただ元をたどれば国内資本のJXと外資傘下の東燃ゼネ。「水と油」の2社だけに、水面下で主導権争いを繰り広げていた。

一方、出光と昭シェルは創業家の反対で合併の実現は遅れてきたが、18年3月からは一部事業で両社員が席を並べるまでに一体運営は進む。月岡は「うちは我慢強いからね」と亀岡に視線を送ったが、脳裏には違う言葉がよぎっていた。

「現実的にはTOB(株式公開買い付け)しかありません」。18年に入り、月岡は幹部数人から昭シェルへのTOBに踏み切るよう説得されていた。「俺の口から伝えられない」。亀岡との関係を深めていた月岡はこう返すのが精いっぱいだった。

亀岡も残された時間の少なさを痛感していた。既に昭シェル株は31.3%を出光に握られ、取締役2人も出光から受け入れた。水面下では「昭シェルからTOBを受け入れると言ってくれないか」とけん制球も飛んだ。「このままでは責任を問われて月岡とともにクビを切られる」。危機感は強まっていった。

「創業家との対立で時間を浪費している場合ではない」。6月14日に福岡市で開かれた全国石油商業組合連合会の全国総会で、出光の系列販売業者の男性はいら立っていた。視線の先には壇上近くにいる月岡と亀岡。会場にはシェア5割のJXTGエネルギー系の販売業者が多い。「このまま何も手が打てない時期が続くとじり貧だ」

背水の両トップ。止まっていた時計の針を前に進める覚悟を決めたのは6月末だった。「一緒に頑張りましょう」。そう亀岡から伝えられた月岡はホッと胸をなで下ろした。

(敬称略)



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