創業家 経営関与の功罪 2018/06/28 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の「創業家 経営関与の功罪」です。





出光興産と昭和シェル石油の統合は創業家がどこまで経営に関与し続けるべきかという課題を投げかけた。特定の「正解」があるわけではなく、ケース・バイ・ケースで考えないといけないテーマだ。自動車業界一つとっても創業者の孫にあたる豊田章男社長の率いるトヨタ自動車もあれば、ホンダ創業者の本田宗一郎氏のように「世襲」を嫌い、自分の子供を入社させなかった人もいる。(1面参照)

1面参照

今から40年前のことだが、石油ショックによる業績悪化の責任をとって創業家の3代目社長が退任し、それを機に経営の主導権が銀行などに移ったマツダの例もある。

一つ言えるのは、日本では創業家がその会社のオーナーであり続けるのはなかなか難しいということだ。トヨタでも豊田家の持ち株比率は1%程度とされ、創業家ではあっても会社の所有者とは言えない。企業の成長過程で株式数が増大し、創業家の持ち分が薄まったり、相続に際して保有株の処分を迫られたりするのがその理由である。

トヨタに限らず、パナソニックにおける松下家やソニーにおける盛田家でも事情は似ている。創業者が健在の間はともかく、何代にもわたり創業ファミリーが経営の中軸にいるためには実績を上げ続けるしかない。それに失敗すれば経営の「非同族化」が一気に進み、いわゆるサラリーマン経営に移ることになる。

一方で米国では創業者やファミリーが1株につき複数の議決権のある「種類株」を保有し、持ち株比率は低下しても、経営の支配権を握り続ける場合がよくある。フォード・モーターにおけるフォード家がそれに当たり、新興勢力ではフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏が2012年に株式上場した後も過半数の議決権を保持しているといわれる。

「1株1議決権」にこだわる日本流と、融通むげにも映る米国流のどちらがいいのか、これも一概に言えない。特定の個人(家)が支配権を握り続ければ、外からのけん制が利かず、経営が一度暴走を始めると、止める手立てがない。

一方で創業家の「金看板」が組織の求心力を高める効果もある。「会社は自分のモノ」というオーナーシップ感覚があれば、経営に向き合う真剣さもおのずと違ってこよう。京都産業大学の沈政郁准教授は「日本では同族経営企業のほうが非同族会社に比べて明らかに成績がいい」と指摘する。

ただし何事にも例外はある。出光・昭シェル統合合意に至るまでの出光家の振る舞いが適切なものだっただろうか。

(編集委員 西條都夫)



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