北朝鮮制裁の緩み懸念 ラッセル元米国務次官補に聞く南北首脳、 意図的に親密さ示す 2018/4/29 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の総合面にある「北朝鮮制裁の緩み懸念 ラッセル元米国務次官補に聞く南北首脳、意図的に親密さ示す」です。





 朝鮮半島の「完全な非核化」を実現することなどで合意した27日の南北首脳会談について、米国の元国務次官補(東アジア・太平洋担当)のダニエル・ラッセル氏に聞いた。

ラッセル元米国務次官補

 ――南北首脳が「完全な非核化」をめざす板門店宣言に署名しました。

 「非核化については明確ではない。北朝鮮は過去にはもっと明快に核放棄を約束していた。例えば(核兵器の生産、使用などの禁止を盛った)1992年の南北非核化共同宣言がそうだ。(すべての核兵器と既存の核計画の放棄をうたった)2005年9月の6カ国協議の共同宣言もある。今回の宣言はそれほどの内容ではない」

 「確かに首脳会談が開かれたことは良いステップだ。しかし、だからといってこれまで金正恩(キム・ジョンウン)委員長が国際法や国連安全保障理事会決議に違反する脅威を高めてきたことに責任がある事実を変えることはできない」

 ――会談で両首脳の親密ぶりが印象的でした。

 「両首脳とも意図的に演出しようとしていた。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の場合、任期の早いうちの南北会談によって進歩的な政策の実現に弾みをつける。さらに米国に軍事行動をとらせない狙いがあったとみる」

 「金委員長は自らのイメージを変えようと試みた。兄を殺害し、米国人を拘束している専制主義的な独裁者像から転じ、洗練され、平和を語る分別のある首脳として印象づけようとした。両首脳にとって壮大な見せ物だった」

 ――米朝首脳会談に向けて何が課題ですか。

 「全ての核施設や核計画、核兵器の放棄を宣言するのか。それは信頼できるのか。国際原子力機関(IAEA)の査察など完全な検証を認めるのか。これらが満たされて初めて良い方向に向かっていると言える」

 ――核放棄の完了期限を示すべきでは。

 「仮に合意したとしよう。彼らの戦術は課題を細分化し、一つ一つについて交渉し、激しくやり合って時間を稼ぎ、見返りを引きだそうとするだろう。期限を設定するのはいいが、それは信頼に足るものにしないといけない」

 ――トランプ政権は完全な非核化まで圧力を維持するとしています。

 「言うのは簡単だ。ただ、米朝首脳会談でトランプ大統領が金委員長と握手している場面を世界の国々がみれば、事態が好転しているとの印象を受け、もう心配いらないとなるだろう」

 「この意味で、中朝、南北両首脳会談によって北朝鮮は大きな利益を得たといえる。『最大限の圧力』は『最低限の圧力』になった。制裁の枠組みは残ったが、その履行レベルは落ち続ける。制裁は事実上緩んだ。いったんそうなると再び締めるのは極めて難しい」

 「また、各国の首脳はもろ手を挙げて金委員長と会談したがっている。それは北朝鮮に正当性を与え、実質的に核保有国としての北朝鮮と関係を正常化することになると理解されるだろう」

(聞き手はワシントン=永沢毅)



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