南シナ海で対中抑止力ベトナム、日本の護衛艦が寄港 フィリピン 、南沙で滑走路を改修 2017/6/2 本日の日本経済新聞より

今日の日経注目記事は、日本経済新聞の国際面にある「南シナ海で対中抑止力ベトナム、日本の護衛艦が寄港 フィリピン、南沙で滑走路を改修」です。





 【ハノイ=富山篤】南シナ海で攻勢を強める中国に対し、東南アジア各国が実効支配する海域や島を維持するための対策を急いでいる。ベトナムはカムラン湾に日本の護衛艦を迎え、フィリピンは南沙諸島で滑走路や接岸施設を改修する。2日開幕のアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)では、南シナ海を巡る中国批判を抑える国が多いもよう。各国は外交上の支援が弱まるなかで「守り」の再構築を迫られる。

5月20日、ベトナム南部の要衝、カムラン湾に寄港した日本の護衛艦「いずも」=共同

 5月20日、ベトナム南部のカムラン湾に日本のヘリコプター搭載護衛艦「いずも」が初めて寄港した。全長248メートルで最大14機の哨戒・救助ヘリコプターを搭載できる。

 寄港は日米などが共同で人道支援を行う「パシフィック・パートナーシップ」の一環だ。当局の影響下にある地元紙は、日本の「空母」がやってきたと大きく掲載し、日本の関与に対する越政府の期待を示した。

 カムラン湾は南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)の両諸島までいずれも550キロメートルで、南シナ海警戒の拠点となる要衝だ。16年4月に日本の艦艇が初めて寄港。同年10月上旬には米国、下旬には中国の艦艇と、外交バランスを取る形で寄港させている。

 米国は5月22日にベトナムに巡視船6隻を供与し、24日にトランプ政権で初めて南シナ海の「航行の自由作戦」を実施した。31日にはトランプ大統領がワシントンでベトナムのグエン・スアン・フック首相と会談し、「米国は国際法が許すなら、どこでも飛行や航行を続ける」と強調した。

 米国が北朝鮮への対応で中国との協調を重視しながらも、南シナ海で中国へのけん制を続けているのが頼みの綱だ。

 ワシントンでの会談に先立ち、ハノイではジョン・マケイン上院議員とゴ・スアン・リック国防大臣が会談。ベトナム政府筋によると「米国はカムラン湾寄港を増やすことを要請した」という。

 フィリピンもドゥテルテ大統領が中国との融和を進める一方、領有権を主張する島への実効支配を強める。フィリピン軍は5月上旬、南沙諸島のパグアサ島にセメントや木材などの資材の搬入を始めた。計16億ペソ(約35億円)を投じ、接岸施設を整備し、滑走路を補修する。数年前から棚上げしていた計画をにわかに再開した。

 パグアサ島にはフィリピン人100人以上が住み、軍が駐留する。中国が一方的に管轄権を主張する「九段線」の内側にあるが、フィリピンは島内施設を整備して領有権を明確に示す。ドゥテルテ氏は同島を訪問して国旗を立てると発言し、その後撤回。中国からの経済支援を得るための配慮だったが、実効支配下にある島については主権の主張を強める方針だ。

 インドネシアも南シナ海南端の同国領ナトゥナ諸島に、空軍のF16戦闘機5機と海軍のフリゲート艦3~5隻をすでに配備したもよう。ナトゥナ諸島にある基地の拡張工事にも着手し、17年末までに滑走路整備や軍港拡張を終える。潜水艦の配備も計画するほか、ロシアからの戦闘機の購入も視野に入れる。

 中国は南沙諸島で7つの人工島に防空設備を設置するなど南シナ海での実効支配海域を着実に広げている。米国やフィリピンが新政権で中国との協調路線を強め、5月に中国貴州省で開かれた中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の協議でも中国への「法的拘束力」に関する進展は乏しかった。

 シンガポールで開かれるシャングリラ・ダイアローグは、弾道ミサイル発射を続ける北朝鮮が話題の中心になり、南シナ海での中国の動きを目立って批判する場にならないもようだ。5月には主要7カ国(G7)首脳宣言が南シナ海情勢に懸念を表明し、中国が反発したが、北朝鮮を抑える役割の中国を批判すべきでないと判断する国が増える可能性が大きい。



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